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コンテンツ力を活かしたユーティリティの向上 TVer、radikoと考えるテレビ・ラジオのDX

坂谷温氏(radiko)蜷川新治郎氏(TVer)

インターネットを利用したメディアの普及が進み、人々のメディアに対する意識や利用環境も大きく変化しています。本稿では、radiko取締役プラットフォーム推進室長坂谷温氏とTVer常務取締役COO蜷川新治郎氏にコロナ禍を経た市場の変化や、テクノロジーとの共存、これからのメディア消費のあり方について聞きました。

コロナ禍で再認識した若年層にある「共通体験」のニーズ

―コロナ禍を経た現在のビジネスの動向について教えてください。

坂谷:コロナ禍での大きな変化といえば、やはりユーザー数の増加です。2020年2月には月間ユニークユーザー数が750万ユーザーだったのが、コロナ禍の2020年春には900万人を突破しました。聴取ログデータによると、在宅勤務やオンライン授業の増加により、平日昼間の視聴時間量も増加しました。

それまでラジオに馴染みのなかった層の獲得にもつながり、アフターコロナ以降も、レコメンド機能などを追加したアプリのリニューアルなどが成功し、視聴時間量は高止まりを維持しています。

蜷川:TVerは、コロナ禍においては各放送局のドラマやバラエティーなどコンテンツの新作制作が中断されたこともあり、radiko(以下ラジコ)のように突入した瞬間にユーザー数が増加するということはありませんでした。

逆にコンテンツの制作が再開し、通勤や通学時間が減少し、可処分時間が増加したことにより徐々にユーザーが増加していきました。

また、これまでリアルタイムで放映している番組を見ていた習慣に加え、自分の好みに合わせてオンデマンド配信を見る習慣が新たに生まれたと感じています。

その結果、2023年8月には月間ユニークブラウザ数が3000万を突破し、今年5回目となる過去最高記録を更新。月間動画再生数も3.9億回を達成しました。

また、ユーザー数の増加に合わせて、若年層の利用も伸長しました。若者のテレビ離れの背景には、単純にコンテンツの内容が彼らに刺さりにくくなっている他に、ユーティリティが低くなっていることが原因だと感じています。

後者に関しては、TVerは時間や場所、デバイスを問わず、テレビで放送されるコンテンツを楽しめるという点で解消ができています。最近では『silent』や『VIVANT』などドラマの見逃し配信が記録的な再生回数となっていますが、これらは若年層を中心に、話題になっているものを体験し、トレンドに共感したいというインサイトが表れていると感じます。

坂谷:若年層の共感という面では、ラジコでも似た傾向が見られます...

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