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電通×博報堂の若手プランナーに聞く!1億総クリエイター時代、「広告」の向かう先

花田 礼(電通)、小渕朗人(博報堂ケトル)

消費者の嗜好や行動パターンは多様化する中、オーディエンスの心に響く広告クリエイティブを生み出すための考え方はどのように変化しているのでしょうか。電通 Creative KANSAIプランナーの花田 礼氏と博報堂ケトルプラナー/PRディレクターの小渕朗人氏に広告クリエイティブの最前線について聞きました。

コンテンツ過多の時代に企業広告に何ができる?

―昨今のメディア環境とそれに伴う広告アプローチ手段の変化についてお二人が思うことをお聞かせください。

花田:2014年に私が入社した当時は、広告といえばテレビCMが花形の時代でした。その後、すぐにバズ動画の時代が来たり…、広告の花形がテレビCMとは言えなくなっていく状況を見てきました。今や10代~20代の半数がテレビを見ないなど「テレビ離れ」が深刻化する中で、必然的にデジタル広告の重要性は増し、企業の予算投資もデジタルにシフトしています。

一方で、デジタル上ではそもそも広告が嫌がられやすい環境であったり、行き過ぎたターゲティングやフリークエンシー過多、クリエイティブ品質の欠如など、課題はまだまだ多いとも感じています。こうした中で、デジタル広告をはじめ、広告が嫌われ者ではなく受け入れてもらえる存在であり続けるためには、人づてに拡がることが重要だと感じています。

例えばネットフリックスなどを見ると、大量のコンテンツであふれていますが、実際に皆が見ているのは、その中でバズったものなど、世間で話題になったものばかり。今や広告も、こうしたコンテンツと同じ棚に並んだ状態だと感じています。バズるというワードは広告業界では嫌悪されることもありますが、現在の情報環境で、広告が機能するには、強制視聴ではなく、話題になって自然に見られる必要性が高まっているのではないでしょうか。

小渕:私が変化を感じるのは、普段目にするものの“トーン”の変化です。具体的にはSNSをはじめ、自分の意見が正しいと強い言葉でメッセージを発信する人が増えた印象です。1億総クリエイター時代となり、誰もが発信できるようになったことで、個人が目立つことにインセンティブが働きすぎていると感じます。こうした状況下で企業広告が強いメッセージを訴求しようとしても埋もれてしまいかねない。無敵の個人と企業人格を持った広告は、自由度の差が大きすぎるので、発信できる内容にも差がありますから。

また、最近は「本当であること」に価値があると思っています。喋りがうまいとか、洗練されているとかではなく、素朴であったりしても、本当の姿や言葉などリアリティのあるものが価値を持つようになったと感じます。

花田:小渕さんも所属するCREATIVE TABLE 最高の皆さんが担当した2022年の大塚製薬「カロリーメイト」Webムービー「入学から、この世界だった僕たちへ。」などはまさにそうした事例ですよね。「自分達には コロナのない中で過ごした学生時代がないのではない コロナ禍で過ごした学生時代があるのだ」というメッセージも相まって、決して派手な演出はないけれど、本当の気持ちがあるメッセージに心をつかまれました。

メディアの進化にとらわれず どこで、誰に、何を届けるか

――若手クリエイターの方たちは、続々と登場してくるデジタルメディアやツールをどう見ていますか。

花田:例えば、最近企業のTikTok活用に変化が生まれて…

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