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AI×マーケティングで未来を拓く

商業施設宣伝のための「最大公約数的なアプローチ」を探る

富士通 山根宏彰

生成AIの台頭により、業務の効率化が実現するとともに、メディアの在り方や、企業と生活者の接点のつくりかたをも変えるような大きなインパクトが予測されます。マーケターは、これらの技術をどのように受け入れ、業務に生かしていけばよいのでしょうか。3回目となる今回は、商業施設の宣伝をテーマに、ジョブ理論とChatGPTを組み合わせる手法について、富士通の山根宏彰氏が解説します。

ChatGPTで、ジョブを捉えたキャッチコピーを出力

多様な情報を基に、質問応答やアイデアを出力する能力を持っているChatGPT。この技術を利用することにより、ジョブ理論(JBTD)のアプローチをより具体的に、かつ柔軟に実行できる。今回は、JBTDとChatGPTを、「広告・宣伝」で活用する手法を考えていく。

まず前半では、大都市郊外のターミナル駅近くに新しい商業施設を立ち上げるシチュエーションを考えてみる。ターゲットとなる顧客層の「ジョブ」を明確にし、それに基づいて効果的な広告戦略を練りたい。

商業施設の立ち上げやリニューアル時、顧客の“ジョブ”を解明し、それに基づいた広告戦略を練るのは至難の業だ。しかし、JBTDをしっかりと活用することで、その難題が解決へと進む可能性が高まる。

大都市郊外のターミナル駅の近くに商業施設を開く際、そのターゲットは駅近くのファミリー層や、やや遠方のシニア層であるとしよう。この2つの顧客層が抱える“ジョブ”は何か?ファミリー層は「子供との楽しい時間を過ごしたい」「家族全員で買い物を楽しみたい」など。一方、シニア層は「健康を維持したい」「日常の疲れを癒したい」などが考えられる。

今回、商業施設は、そのポテンシャルを最大限に引き出すために、ファミリー層とシニア層の2つの主要な層に焦点を当て、共通のジョブを探求するという戦略をとることにしてみよう。

ここでの最大公約数的なアプローチとは、両層に共通するニーズや欲求を探ることを意味する。例えば、先に挙げた世代間のコミュニケーションや健康といったトピックは、ファミリー層もシニア層も共通して関心を持つテーマである。この共通のテーマに基づいて、各店舗のコンセプトやサービスを展開することにより、より広い顧客層にアプローチすることが可能となる。

具体的にテーマと、キャッチコピーをChatGPTに考えさせてみると、以下の候補を得た。

1.**ヘルスハーモニー**:

-**共通のジョブ**:「健康を維持・増進したい」という共通のニーズ。
-**キャッチコピー**:「健康とハーモニーの中心、すべての世代のためのワンストップヘルスケア」

2.**ジェネレーションズカフェ**:

-**共通のジョブ**:世代間のコミュニケーションや交流を深めたいという共通の欲求。
-**キャッチコピー**:「世代を超えて繋がる、心温まる交流の場所」

3.**リラクゼーションハブ**:...

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