データの利活用は企業にとって当たり前に取り組むべきものとなってきた。しかし、データを収集してみたものの、有効に活用できるかどうかは別の問題。データを集めようと環境は整えたものの、投資に見合った成果を得られず壁にぶつかっている企業の担当者も多いのではないだろうか。本連載ではサッポロビールでデータ利活用を推進してきた福吉敬氏がホストとなり、最前線で企業のデータ環境整備に取り組む担当者を招き、経験値を共有することでより豊かなデータ活用を目指す。
※本記事は宣伝会議運営「アドタイ」に掲載の記事を抜粋して転載したものです。
対談全文は「アドタイ」でご覧いただけます。

左から
サッポロビール ビール&RTD事業部 ヱビスブランドグループ シニアメディアプランニングマネージャー 福吉敬氏
SUBARU デジタルイノベーション推進部 小川秀樹氏
2名の肩書きは対談を実施した、2023年6月時点のもの。
データの共有を通じて社内モチベーションが高まる
福吉:小川さんは収集、分析した顧客データを社内で共有していますか。
小川:はい。お客さまを基点とするデータを集めようとなると社内の複数の部門の人たちが関わります。ですから、共有することも大事ですし、共有した結果、お客さまを中心に社内の複数部門をつなぐような働きかけをしています。
福吉:すごく共感します。お客さまに関するデータを共有することは、社内のモチベーション向上にもつながりますよね。いま当社のサイトの分析を進めていて、ドメインごとのアクセス時間なんかも収集しています。
これまでのヱビスブランドサイトの商品ページは、製法や原料についてさらっと触れる程度で、美味しさをはじめとする情緒的価値を中心に構成されていました。「それでいいのかな?」という気持ちもあったのですが、「ヱビスビアタウン」でファンの方から「もっと商品の詳しい情報を記載して欲しい」というご意見をいただくことが何度かありました。
そこで原料や製法についてしっかりと説明するようコンテンツを見直すことに。結果、まずはサイトの滞在時間が伸びました。理由を分析すると、やはり見事にホップの情報や、製法の説明部分の滞留時間が長くなっていることが分かりました。その結果をコンテンツ制作に協力してくれた技術や調達の人たちに伝えたら、とても喜んでもらえたのです。
小川:データを通じて自分の仕事がお客さまに喜んでもらえたことがわかると、仕事に向き合う姿勢も変わりますよね。
福吉:小川さんはオンライン以外での情報収集もしていますか。
小川:お客さまを理解するためにはデータだけでなく、ときにデプスインタビューのような手法も必要だと思って取り入れています...