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国内主要企業38社 2022年度の戦略と方針

2022年の広告・マーケティング戦略(パナソニック、JT、日本航空、他9社)

不確実性の高まった社会環境のなかで、生活者の心は揺れ動き、マーケティング・コミュニケーション活動の難しさが増していました。

しかし、そんな生活者の気持ちに企業の最前線で接してきた広告・マーケティング部門のトップの皆さんは、これまでの経験を生かし、コロナ禍の先を見据えた新しいコミュニケーションの在り方をすでに見つけ始めています。

生活者のブランドに対する期待も変わりつつあると言われるなか、いま日本を代表する企業でマーケティング・コミュニケーション活動を担うトップの方たちは、どのような戦略を描いているのでしょうか。38社の戦略から、成熟化した日本市場におけるブランドと生活者の関係性を考察します。

(敬称略・五十音順)

    19 デル・テクノロジーズ

    コンシューマー&ビジネスマーケティング
    統括本部
    部長
    横塚 知子(Yokozuka Tomoko)

    大学院卒業後、ベンチャー企業を経て、2005年からデルへ。入社初年度は中国に赴任。現在は、日本市場のマーケティングを担当し、ダイレクトビジネスの推進およびブランディングの強化を行う。

    今年度のマーケティング戦略の方針

    顧客ニーズや顧客接点の多様化から、マーケティング施策を多面的に考える必要があると考えています。このため、テクノロジー及びデータを最大限に活用し、顧客ごとに最適化したアプローチを継続的に行っていくことが必要かと思います。

    消費行動やメディア接触の変化として感じること

    生活者のメディア総接触時間が増加し、メディア環境のデジタル化がより一層加速されたと感じています。一方、2022年4月に個人情報保護法が見直され、各企業はデジタルマーケティングについて運用の見直しが必須になったかと思います。


    今年注力したい領域

    ● 企業のブランド価値を向上させること
    ● 新規見込み客の発掘(リードジェネレーション)
    ● データの活用

    昨今注目の広告・マーケティング手法

    ● マーケティング投資の最適化
    ● デジタル広告の品質問題
    ● ファンベースマーケティング

    実務上で抱えている課題

    特になし

    部門の人材に期待するスキル

    ● 専門知識
    ● データ分析力
    ● 調整力(他部門、外部パートナーなど)

    20 東京ガス

    広報部
    広告担当部長
    中塚 千恵(Nakatsuka Chie)

    1994年より東京ガス 都市生活研究所に所属。2011年より同社広報部CSR室、環境部、コンプライアンス部、東部支店に所属。2021年より現職。

    今年度のマーケティング戦略の方針

    企業広告の方針は、社会課題解決にむけた取り組みをもとに、お客さまに寄り添うコミュニケーションを行い、コーポレートブランドを高める。具体的な内容は以下の通り。
    ・パーパスの社内外の浸透
    ・脱炭素社会の実現にむけた取り組みへの信頼向上
    その他、ESGに関わる取り組みに関するコミュ二ケーションを実施

    消費行動やメディア接触の変化として感じること

    ・先入観について
    たとえば、Z世代は捉えづらいとされるが、その一人ひとりを先入観なしに見ると案外見えてくるものがある。アンコンシャスバイアスなどとも言われるが、情報が多い時代だからこそ、先入観なしに消費者を見ることが重要である。


    今年注力したい領域

    ● 企業のブランド価値を向上させること
    ● 商品の売上を宣伝施策で高めること
    ● メディアの効率的なプランニング・バイイング

    昨今注目の広告・マーケティング手法

    ● デジタル広告の品質問題
    ● メタバース/VR/AR
    ● ファンベースマーケティング

    実務上で抱えている課題

    ● 実施したいことを実現するための人手が足りない
    ● デジタルテクノロジーに関する知識・スキルが不足している

    部門の人材に期待するスキル

    ● 企画力
    ● 表現力/センス
    ● 実行力

    21 ニチバン

    ブランドマーケティング部
    執行役員
    ブランドマーケティング部長
    富田 英樹(Tomita Hideki)

    名古屋支店薬品課、関東メディカル薬品課、メディカル事業本部、東京支店薬品課課長、2019年テープ事業本部次長、2020年オフィスホーム東日本営業部部長、2021年執行役員コンシューマー営業本部本部長補佐、2022年4月より現職。

    今年度のマーケティング戦略の方針

    開発連携連動型事業展開に向けたブランドマーケティングプラン立案。顧客機軸のブランド戦略、デジタルマーケティングへの取り組み強化。ファン創出を目的としたブランドコミュニケーションの実践。

    消費行動やメディア接触の変化として感じること

    皆さん同様と思いますが、コロナ過を経て生活者の消費行動は不可逆な変化を遂げているように感じます。今後のマーケティング施策についてもよりスピードを上げた変化が必要。メディア接触環境については、デジタルネイティブ世代を中心に、今までの常識が通用しない全く新しいフェーズに突入してきたと日々感じています。


    今年注力したい領域

    ● 企業のブランド価値を向上させること
    ● 営業(販売・店頭)部門との連携
    ● 商品開発部門(事業部門)との連携

    昨今注目の広告・マーケティング手法

    ● マーケティング投資の最適化
    ● Z世代向けマーケティング
    ● ファンベースマーケティング

    実務上で抱えている課題

    ● 実施したいことを実現するための予算が足りない
    ● 実施したいことを実現するための人手が足りない
    ● デジタルテクノロジーに関する知識・スキルが不足している

    部門の人材に期待するスキル

    ● 実行力
    ● 調整力(他部門、外部パートナーなど)
    ● 自社・自ブランドについての理解

    22 日清オイリオグループ

    コーポレートコミュニケーション部
    次長
    鈴木 裕也(Suzuki Hiroya)

    1993年入社(神戸営業所)。1998年RS営業部、2000年コミュニケーションセンター、2002年札幌支店、2008年宣伝・広告部、2013年から現部門の宣伝・広告課長を務め、2019年より現職。

    今年度のマーケティング戦略の方針

    コーポレートブランディング強化。サステナビリティ実現に向けて取り組む姿へ、長期的な視点で信頼・共感をいただくためのコミュニケーションを展開するとともに、社会やメデイア、生活環境の変化に対応し、誠実に、速やかな発信を心掛けたい。また、商品訴求を通じて食生活へ「おいしさ」「楽しさ」「健康」価値貢献を目指す。

    消費行動やメディア接触の変化として感じること

    情報もモノも行動も「本当に自分に必要なモノ・コト」を「必要な分だけ」選ぶ、という考え方が浸透し始めていると感じる。「何となく」の余白が喪われることは寂しくもあるが、一方で「本物」は見直され、その人にとって明確に必要とされるメッセージはより着実に受容される、ということでもあり、これを前向きに捉えたい。


    今年注力したい領域

    ● 企業のブランド価値を向上させること
    ● 新規見込み客の発掘(リードジェネレーション)
    ● データの活用

    昨今注目の広告・マーケティング手法

    ● マーケティング投資の最適化
    ● Z世代向けマーケティング
    ● パーパスブランディング

    実務上で抱えている課題

    ● その他(長期的な視点でP-D-C-Aサイクルに導くコミュニケーション指標の模索)

    部門の人材に期待するスキル

    ● 専門知識
    ● 企画力
    ● 表現力/センス
    ● データ分析力
    ● 実行力
    ● 調整力(他部門、外部パートナーなど)
    ● 自社・自ブランドについての理解
    ● 外部の人脈
    ● 仕事に対する内的な動機

    23 日本航空

    宣伝部運営グループ
    グループ長
    中山 和之(Nakayama Kazuyuki)

    2013年本店国際旅客推進部法人販売推進室、2015年商品・サービス企画本部業務部マネジャー、2017年より宣伝部運営グループ長。

    今年度のマーケティング戦略の方針

    コロナ禍費用対効果を強く意識する中で、お客さま、マーケットに寄り添い、「共感」「共創」「ハピネス」を意識した取り組みにより、WZ/AFTRコロナの早期需要回復とともに新たな需要を創出し、収入に直結する宣伝コミュニケーションを実現したい。

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