ステイホームやリモートワークで、「ながら」聴きが可能な音声コンテンツへの接触時間が増加した。そうしたなかで、ラジオCMをはじめとした音声広告の効果が改めて見直されている。広告主が音声広告に期待する効果とは何か。明治宣伝部で広告戦略に携わる酒見康隆氏に話を聞いた。
消費者との新たな接点としてラジオ番組提供、ラジオCMに注力
明治の宣伝部では、商品カテゴリやブランドにより担当が分かれている。宣伝部の酒見康隆氏は現在『チョコレート効果』などのブランドを担当しており、部内に専任者のいるテレビ以外、あらゆるメディアのバイイングとプラン設計を行う。
「当社はラジオCMの制作と活用を以前から実施し、時報提供を行っている時期もありましたが、あくまでも広告活動の中心はリーチに優れるテレビCMと新聞広告。私が宣伝部に異動した2014年当初も、テレビスポットCMの活用が中心でした。しかしスポットCMは投入スケジュールなど広告主都合の意味合いが強く、私がロングセラーブランドを多く担当していたこともあり、徐々にコミュニケーション手法に限界を感じるように。中長期的にメッセージを発信できて、かつテレビCMだけではリーチできない方たちとの新たな接点となるメディアを探していました。そんな意識を持っている時、ラジオが候補に思い浮かびました」と酒見氏は振り返る。
そして2019年8月から「生島ヒロシのおはよう一直線」(TBSラジオ)の番組内コーナー提供を『チョコレート効果』で開始。『チョコレート効果』は他のチョコレートブランドと比較して年齢層が高く、番組のリスナー層とも合致。消費者調査で、ブランド認知のきっかけに「ラジオ」という回答が出始めたことに手ごたえを感じ、徐々に活用の幅を広げていったという。
パーソナリティーやナレーターが原稿を読むパターンのほか、現在放送している『チョコレート効果』『ミルクチョコレート』のラジオCMでは、それぞれテレビCMと同じ新垣結衣さんと松本潤さんを起用。BGMも共通で使用し、「テレビのビジュアルイメージも想起してもらえるのではないか」と考えた。テレビとラジオで大きくターゲットを変えることはないが、より自由度高く、番組にフィットした形でコンテンツを工夫する。
「昨年『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』(ニッポン放送)内でコーナー提供を開始し、その流れで佐久間さん出演のCMを制作したのですが、他の番組で話題になったり、リスナーがSNSで反応してくださったり反響が大きかったです」。
またTwitterとの相性の良さも感じているという。ハッシュタグをつけてつぶやきながら聴くスタイルで、深夜に関連キーワードがトレンド入りすることも多い。インターネットラジオにより聴取可能なエリアが広がり、コロナ禍で新たなリスナーを獲得したことも後押しとなった。
声優や...