メディア環境が変化した今、新聞の購読者だけではなく、SNSや他ネットメディアで拡散された記事や広告に接する機会が増えている。そうした中で、新聞の持つ役割とは何か。趣味は「新聞を読むこと」という電通の嶋野裕介氏に、クリエイターの視点から、その魅力を語ってもらった。

電通 zero
クリエーティブディレクター/PRディレクター
嶋野裕介氏
マーケティング、営業を経て現職。主な仕事「BOSS Web CMシリーズ(ゴジラ・競馬など)」、「TOYOTA#金曜日の新垣さん」、民放連「一緒にやろう2020」、青森県「#縄文式ビリビリ健康法」、フリー素材アイドル「MIKA+RIKA」、「3cm market」など。好きな新聞特集は「窓」「折々のことば」。
信頼できるからこそ拡散しやすい SNS時代の新聞の新たな価値
──現在の環境における新聞広告ならではの特性をどう考えますか。
いま広告主がメディアに期待することに「メッセージが正しく伝わってほしい」という点があると思います。テレビCMは秒数が限られ、Web広告だとじっくり読んでもらいづらい。だからこそしっかりメッセージを読み込める新聞広告に価値がある。新聞メディアに対する信頼度が高いこともありますが、新聞広告に対しても「正しく、信頼できる」という認識があると思います。
また最近、広告主からの相談で増えているのが、SNSでも話題になる新聞広告を考えてほしいという要望です。2019年の新聞オーディエンス調査※1によると、「SNSで広げたくなる広告媒体」ではテレビCM、SNS広告に次いで3位に新聞広告が入っています。その理由は、新聞に掲載されている情報であれば安心して話題にできるから。
※1 日本新聞協会「2019年新聞オーディエンス調査」
さらに、新聞広告をネットでシェアする割合は若年層ほど高い傾向にあり※2、近年は読売新聞社の「よみバズ」など、新聞社自体が、SNSでの拡散力を数値化しています。それだけ、広告主からの「話題づくり」への期待は高いのだと思います
※2 新聞広告共通調査プラットフォームJ-MONITOR「情報源としての新聞社パワー 18紙共同調査」
──購読者以外へのリーチが期待されているということですね。では「拡散する広告クリエイティブのポイント」とは何でしょうか。
2021年2月Twitter社の協力を得て、2020年に掲載された15段広告975点、30段広告117点を分析。SNSで話題になった広告の特徴を4つに分類しました【図表1】。

図表1 SNSで話題になる新聞広告 4つのパターン