昨年のコロナ禍発生直後には、世の中全体の不安定な気持ちを反映して、新聞を使った企業の意思表明ともいえる広告表現が増え、また読者からの支持も得ていた。この環境が長期化するなか、新聞を使った企業コミュニケーションに変化は生まれているのだろうか。2021年の新聞広告活用の概況について、電通新聞局長の新井秀夫氏に話を聞いた。
ウィズコロナの価値観を踏まえた 地に足のついたコミュニケーション
2021年に入ってからの新聞広告を振り返ると、販促広告だけではない、社会性を持ったメッセージの発信が目立ちました。これは2020年から継続している傾向です。
特に今年は、東日本大震災から10年という節目の年。新型コロナウイルスが蔓延するなかでも、震災の記憶を風化させないための情報発信が、広告主からだけでなく、新聞社からも行われました。その中でも宮城県の河北新報社が広告主の復興支援活動をまとめた「企業のチカラ×東北の未来」は、今年度の新聞広告賞に選出されました。
また当社が今年4月に発表した「SDGsに関する生活者調査」では、SDGsという言葉の認知が54.2%となり、生活者のSDGsに関する意識も高まっていると感じます。さらに、「多様性と調和」のスローガンを掲げたTOKYO2020大会が開催され、ジェンダーやLGBTQ...
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