クリエイターの視点から、サスティナブルとダイバーシティの共存を実現するデザインのヒントを北欧デンマークから全6回の連載でお届けします。
ブランドのポリシーが商品を選ぶ際の基準に
連載1回目では、私がデンマークの全寮制成人教育制度「フォルケホイスコーレ」のひとつである「エグモント・ホイスコーレン」に滞在することになった経緯について紹介しました。
ユニバーサルデザインに関する実務上の関心から、デンマーク行きを決意した私は「エグモント・ホイスコーレン」滞在中に、ある企画を立てました。その企画とは自社、他社併せた数種類の化粧品を用意し、できる限り多くの人に触れて、実際に使ってもらうというイベントです。参加者には、商品の好ましい点や不満、その他に感じたことを質問票に書き込んでもらいました。
するとそこには、私が想定していたプロダクトとしての使用感やデザインの嗜好の他に、環境や素材(資源)についてのコメントがいくつか見受けられました。私は、この点について深く興味を持ちました。そこで男女年代問わず、約30人のデンマーク人へのインタビューを試みました。寮の部屋、もしくは自宅に上がり込み、好きな化粧品(トイレタリー商品を含む)を挙げてもらい、その理由や、普段気になっていることについて話してもらいました。
まず、彼らはいかなる質問に対しても、明確に理由や意見を述べます。「なんとなく」はないのです。好きなところ、気に入らないところについても、彼らは自分なりの考えを持っていました。
中でも、化粧品を選ぶ視座が印象的でした。中味の成分がオーガニック由来であるか、動物実験をしていないか、自然環境に配慮をしているか、製造工程で児童の強制労働が絡んでいないか、プラスチックを多用していないかなど、ブランドのポリシーや意識が商品を選ぶ理由として多く挙がってきました。その他、輸送費がかからないから、という理由で国内ブランドを選んでいるという声もありました …