2017年4月から始まった都市ガスの自由化に本格参入している日本瓦斯。「ニチガスにするの、賛成です!」のコピーや、出川哲朗さん演じる「ニチガス・ニ・スルーノ三世」が話題の同社のCMに込められた思いや企画の狙いを聞きました。
挑戦しないことがリスク 社員の思いが込められたCM
足立:ニチガスさんのCMを拝見し、チャレンジ精神が強く、こなれたCMという印象を受けました。どういった広告戦略をお持ちなのですか。
柏谷:今回のCMは2017年から始まった都市ガス自由化を念頭に準備を進めたものです。これまで当社は都心部で営業をしておらず、拠点もなかったので、お客さまに当社の名前やイメージを持っていただく機会がありませんでした。そこで、ブランド戦略の第一のステップとして当社の社名と、自由化により、ガスも自分で選べる時代になったことを知ってもらおうと、CMを企画しました。
足立:ガスの自由化を知ってもらうためのPR活動。もうひとつが日本瓦斯の認知度を高めるという二軸の戦略だったのですね。これまでテレビCMは打たれていましたか。
柏谷:当社はLPガスで60年、都市ガスは郊外で50年、事業を展開してきましたが、テレビCMを大々的に打つのは創業以来、初めてのことです。
足立:それはびっくりです。インフラ企業は一般的に堅いイメージがありますが、ニチガスさんのCMは柔らかく、初めてのCMと聞いて驚きました。企画ができるまでの経緯を教えてください。
柏谷:今回は博報堂さんと、AIベンチャー企業のメタップスさんと3社で協力して企画を立てたのですが、いきなり企画を立てるのではなく、まず"日本瓦斯"がどういう会社かを考えるために、当社の営業の前線にいる社員にも企画会議に参加してもらいました。彼らに「普段お客さまに一番伝えたいことは何か」を聞いた上で、当社に合ったストーリーやイメージを提案していただきました。出川哲朗さんにオファーしたのは、当社の経営トップのアイデアです。
足立:実際に3社で協力してつくってみていかがでしたか。
柏谷:メタップスさんはITやAIを活用したデータマーケティングを行っているので、当社のイメージについて緻密に分析してくださいました。博報堂さんもその考えを受けてストーリーやイメージを提案してくださり、単なるクライアントとクリエイターの関係ではなかったことが成功した理由にもなっているかと思います …