短期的な売上を追うだけでなく、お客さまの満足度を高めることが長期的に見れば企業の利益につながる…。多くの人が納得する正論ではありますが、実際にこの目標を目指した施策の成果は、ビジネスへの貢献を可視化しづらいのが現状です。どうしたらこの課題を解決することができるのでしょうか。
顧客との関係強化が なぜ今、重要視されるのか
顧客との関係性を高め、多くのファンをつくると、最終的に企業の利益につながることは間違いない。顧客との関係性に意味を見い出し普及した、リレーションシップマーケティングが生まれてから20年以上経つが、未だに毎回の販売を重視する企業は多い。
また顧客との関係強化を重視する企業であっても、正しく顧客を評価できているであろうか。顧客との関係強化を推進する企業の一般的な目的は、顧客生涯価値(Customer Lifetime Value:CLV)の最大化であろう。顧客との関係維持により、どれぐらいの利益が一人の顧客からもたされるか購買を指標に顧客価値を計算する。この戦略に違和感をおぼえる方はあまりいないのかもしれない。
しかし、果たして購買だけが顧客が企業に与える利益なのだろうか。RFM分析を行いCLVの管理をしていくことが、最善の顧客マネジメントなのであろうか。昨今の環境において、顧客が企業に与える貢献は自身の購買だけでは過小評価している可能性が高い。
そこでまず、顧客との関係性を構築する必要性を述べた上で、購買以外で顧客が企業に与えている利益を正当に評価する必要性について考えていきたい。
売上より顧客満足を優先する企業は多くない。確かに売上を優先すると短期的な効果は見えやすい。しかし長期的視点では、顧客満足を優先する企業に軍配があがる。既存顧客においては、顧客満足を上げることによって、リピート客が増えコストが発生することなく、売上を創出することができる。
一方、新規顧客は、広告宣伝費を使わなくても口コミによって獲得することができる。顧客満足度を上げると、費用をかけずに売上を伸ばすことができるので、利益を上げることにつながるのである。
さらに、ブランドの観点から見ても、多くの顧客とエンゲージメントを高めていくと、ブランド資産が構築されていく。顧客からの満足を積み上げることは、企業にとって顧客資産の蓄積につながる。顧客が体験する価値の蓄積は、ブランド価値の資産化につながるのである。顧客資産やブランド資産といったマーケティング資産があると、企業が売上をつくる上で大きな助けとなる。
マーケティングは投資に位置づけられるものなので …