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宣伝担当者が知っておきたいクリエイティブの基本

リブランディングの時のコンセプト開発のポイントーココカラ 江上隆夫氏

    リブランディングのコンセプト開発のここがポイント!

  • リブランディングが必要になった原因を分析し、それを起点に「これからどうなりたいか」を考える。
  • 由来や歴史、創業の理念など、ブランドの始まりに立ち返る。
  • コンセプトとは、お客さまに愛し続けてもらうための、また自分たちが愛し続けるための「ブランドの原理原則」。

「生活者が本当に必要とするものを、ムダのない必要十分な機能と形でつくり、提供する」をコンセプトとする無印良品。ブランドの過去・現在・未来にわたる考え方をまとめた「ストーリー」とも呼べる文章が、公式サイトに掲載されている。

ブランドの陳腐化の原因を追究する

リブランディングは、基本となる3つの「Re」から成り立っています。

一つ目は、「リポジショニング」。つまり、ブランドの立ち位置を変えること。「最適のその先へ」という未来を前提にしたものですね。

二つ目は、「リフレッシュ」。ブランドの見え方を変えることです。ブランドに対する、企業側/ユーザー(生活者)側双方の感覚、Feelの部分を刷新します。

そして最後に、「リバイタライズ」。リポジショニング、リフレッシュを経て、まずはインナーを活性化し、その波及効果で、ユーザーも活性化させていくという考え方です。

リブランディングにおいて新しいコンセプトを考えるとき、まず必要なのは、「なぜリブランディングが必要になったのか」の原因・理由を徹底的に考えることです。また、ブランドに飽きたり、停滞感・マンネリ感を覚えたりするのは、意外なことにユーザーよりも、発信している本人たちだったりするものです。誰の心がブランドから離れているのか、見極める必要があります。

リブランディングが必要になる原因としては、大きく
【1】市場環境の変化、
【2】ブランドの劣化、
【3】ブランド設計のミス、
【4】好調のうちに次の時代を見据えてトライ、

の4パターンがあると思います。にも一覧しました。

【1】市場環境の変化

(1)競合の伸長・競合環境の変化

もともと小さい産業だったところに大手企業が参入してくるケースもあれば、全く思いもよらないカテゴリーが突如としてライバルになる可能性もあります。

(2)新技術の登場による陳腐化

自動車や家電などテクノロジーをベースにした製品が該当しやすい項目です。

(3)新ジャンルの登場による既存ジャンルの衰退

その商品・ブランドが、というよりは、ジャンル全体が衰退してしまうケースです。例えばワープロやいわゆる携帯電話“ガラケー”がそうでした。

(4)時代の価値観の変化

例えば、日本ではこの20年「お金より生きがい」という考え方が広がり続けています。また、若い世代を中心に広がる、物質的なモノは身の周りに必要最低限でよいと考える「ミニマリスト」の考え方。こうした考え方の人が増える中、自分たちのブランドはどうあるべきなのか、考える必要があると思います。

(5)社会構造の変化

少子高齢化、ホワイトカラーの失業、グローバル化……現代はこうした大きな変化の最中にあります。構造の変化に伴い、人々の価値観も変わっていく。そこで自社ブランドがどうあるべきか、再考する必要がある場合もあります。

【2】ブランドの劣化

ブランドというものは、外的要因によって「変わらないところ」を持たなければなりません。しかし、それと同時に、常に変化し続ける部分もなければならない。それを成功させている事例としてよく話題にのぼるのが、和菓子のとらやさんです。日本でも最古のブランドの一つであり、コアにある「おいしい和菓子を喜んで召し上がっていただく」という基本理念は一切変わっていませんが、ヨーロッパ出店や新業態「TORAYA CAFE」の展開など、常に新しいことに挑戦し、発信し続けている。それが顧客を飽きさせないのです。あるいは、企業の体質に起因する劣化というものあります。

【3】ブランド設計のミス

性能・品質・デザインなど「商品そのもののミス」、客層が間違っていたりセグメントが甘いなど「顧客設定のミス」、顧客に合った価格設定ができていない「価格設定のミス」、店頭販促やプロモーションなどの「マーケティング戦略のミス」など、ブランドを構成するさまざまな要素のどこかにミスがある、というケースです。

【4】好調のうちに次の時代を見据えてトライ

リブランディングは、ブランドが不調になったら行うものと思われがちですが、望ましいタイミングは「まだ好調なとき」です。売上が落ちてきた、何かテコ入れが必要だ、となる前に、少し先の未来を見据えて新しいものに挑戦する、新しいことを試してみる、ということも、リブランディングの動機としてあり得ると思います。そこでは、「今なぜ成長しているのか」きちんと分析する必要があります。

こうした、「リブランディングをすることになった原因」を起点に、「ブランドの理想像」を考える。その問いへの解答、その実現のための原理原則が、すなわちリブランディングにおけるコンセプトになります。原因を徹底的に探った結果、ブランド自体には問題がないというケースもあります。その場合は、リブランディングはしない、コンセプトは変えない、という選択肢もあり得ます。

この分析プロセスだけが、リブランディングの際のコンセプト開発で必要になってくるもので、ほかの基本的な手法・フローは、新ブランド立ち上げの際のコンセプト開発と変わりません。建築に例えれば、「更地に真新しい建物をつくる」=新ブランド立ち上げか、「今ある家をリフォームする」=リブランディング、という違い。前者は、自由度が高く、諸条件に左右されないという良さはあります。一方で後者は、成功・失敗どちらも経験値があるので、課題や改善点が明確なだけに、より精度の高いコンセプト策定が可能と言えるかもしれません。

ブランドの始まりを見つめ直す

リブランディングにおけるコンセプト開発について、もう一つ重要だと思うのは、「ブランドの始まりを見つめ直すこと」です。ブランドのアイデンティティとは ...

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