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前回、ご紹介したコミュニケーション戦略“7層構造のミルフィーユ”とは、ポジショニング論、ブランド論、アカウントプランニング論、ダイレクト論、IMC論、エンゲージメント論、WOM(口コミ)論の7つ。今回は、一番のベースとなる、「ポジショニング」について書きたいと思います。
「ポジショニング」は、コミュニケーション戦略において最も頻繁に使われる言葉のひとつですよね。マーケティング、広告担当者や商品開発担当者だけでなく、経営者やクリエイターにも。ですが、実は意味があいまいなまま使われている気がしてならないのです。
ポジショニングとは、文字通り「相対的な位置取り」のこと。その根底には「違いこそが重要である」という差別化の思想があります。ポジショニングは60年代後半に生まれた戦略論で、それ以前からのUSP論を顧客視点で捉え直した理論とも言えます。その後、高度消費社会へと突き進んだバブル期の日本では、記号/感性ポジショニングという独自の形態へも発展しました。
USP→ポジショニング→記号/感性ポジショニング、こうした流れを認識してもらったうえで、歴史を追って説明していきましょう。はじまりはアメリカです。
商品性に立脚して差別化する「USP」の誕生
まず初めに生まれた差別化の理論 ...
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