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オウンドメディアの価値を拡張する「企業ストーリー」の届け方

危機を乗り越えられる組織が紡ぐストーリー

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企業姿勢や事業の裏側、奮闘する人の想いを発信し理解や共感を得る。企業成長に欠かせない発信を、多様なステークホルダーの記憶に残すには。

世界初のプレスリリースをご存じでしょうか。1906年、アメリカで鉄道事故の発表があったのがプレスリリースの始まりと言われています。その内容をニューヨークタイムズが転載し、当事者からの一次情報がそのまま生活者に届く形となりました。重大な危機が発生した時には、当事者からの透明性のある積極的な情報開示が求められます。

また、このプレスリリースの作成に携わった、パブリックリレーションズのパイオニアであるアイビー・リーは『原則の宣言(Declaration of Principles)』の中で、「公衆(the public)が知る価値があり関心を抱く問題を、迅速かつ正確に提供する」ことが自身の役割だと書いています。

危機の起点で訂正ができるか

昨今、謝罪会見が開かれた事案を振り返ってみると、不正行為の疑惑が生じた時、「世間の常識」とのズレがあるにもかかわらず、それを認めず、会社の悪習を正しい方向に訂正することができなかった、そんな内容が目立ちました。

不正を告発され、多くの取引がキャンセルされる、そうした事態になる前に、危機の起点を察知し訂正するには、日々社会と向き合っているパブリックリレーションズが欠かせません。社内と社外の間に立ち、経営陣に進言していく立場にある、広報担当者のバランス感覚や理性が問われる領域でもあります。

社内の不正を訂正できる「理性」に関しては、哲学者のカントの言葉にヒントがあるように思います。

カントは『啓蒙とは何か』の中で、組織のために理性を行使するのは、理性の私的な利用にすぎない、と指摘しています。そして、世界に向かって文章を発表し語りかける時には、理性を公的に利用する者として行動している、とも言います。つまり、「弊社としては問題なかったと思っています」という弁解は、理性が私的に使われていて、社会の利益・関心に資する情報を発信できていない、ということになるのでしょう。

他方で、自社の商品やサービスが悪用され迷惑行為が発覚した時点で、直接不正に加担していなくても、自社の考えや対策などを積極的に公表している場合には、理性がパブリックに向けて使われていると言えそうです。そうした社会の不安解消につながるメッセージは、ときに受け手からの共感を呼ぶこともあります。

図 高い視座に立つ理性の「公的な利用」と企業広報の姿勢
※イマヌエル・カント『啓蒙とは何か』(中山元訳、光文社古典新訳文庫)から筆者が要約

業界の当たり前への挑戦

そもそも会社を立ち上げる時、創業者は世間の常識のさらに上を行く「良識」まで視座を高めて...

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