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コーポレートブランディングカンファレンス

フォロワーを巻き込み「共創関係」をつくる Instagram活用法

コクヨ

総合文具メーカーのコクヨは、Instagramの活用でフォロワーとの「共創関係」を育み、熱狂的なファンの創出に加え、ニーズを捉えた新商品の開発やフォロワーコミュニケーションに関する知見の全社的な活用にもつなげている。

学生から社会人に至るまで、幅広いユーザーを抱える文具メーカー、コクヨ。2022年からは企業の存在意義を「ワクワクする未来のワークとライフをヨコクする」と策定。仕事や生活における新スタイルを提案し、ユーザーのチャレンジに伴走するという価値の提供を目指している。

「感性価値」を伝える手段

こうした中、「プロダクトを通じ、はたらく・学ぶ体験をより充実させる」ことをミッションとするのが、同社のグローバルステーショナリー事業本部だ。近年は生活者行動が変化し、「機能性を訴求する」だけでは商品が売れなくなってきている。そこで、生活者とのコミュニケーションを強化し、同社の商品が生活者にとって「いかに意味があるものか」といった「感性価値」を伝えることに注力しているのだ。

「商品の『感性価値』を伝え、生活者の“潜在的なニーズ”を刺激することが商品の購入にもつながります。このため生活者の生の声に耳を傾け新しい文脈で商品を提案するなど、“伝え方”を日々模索しています」(同プロモーション推進部 武市陽子氏)。「感性価値」を訴求する一環として、2017年に立ち上げたのがInstagramの公式アカウント「コクヨのぶんぐ」だ。投稿では主に新商品の紹介や既存商品の機能性・使い方を紹介している。

一方的から双方型へ

運用開始から5年半でフォロワー数12万7000人にのぼるまでに成長した同アカウントだが、フォロワーとの関係性も時期とともに深化してきたという。その変遷を「初期」「中期」「後期」の3段階に分けて解説した。「2018年の引継ぎ当初は、Instagramを情報発信ツールと捉え、一方向的な発信を行っていました。ターゲットを『文具が好きな人』と定め、投稿は商品そのものを分かりやすく伝える内容に。『コクヨの文具の良さを伝える』『コクヨのファンをつくる』という目的で運用していました」。

投稿は、初期はフィードのみで週3回程度、現在は「ストーリーズ」でもほぼ毎日行っている。投稿文は、丁寧ながら親しみやすく、「中の人」の存在を感じさせる表現にこだわってきた。

「2020年からは『中期』段階として、『双方向のコミュニケーション』を意識しました。例えばストーリーズの『質問箱』機能を使い、コクヨ商品以外も含めて文房具の話題を募る『文具話』コーナーを毎月実施しました。商品の購入報告や文具に関するエピソードなど、集まってきたフォロワーの声に『中の人』が返信する形で『双方向』性のあるやりとりがはじまりました」。

このほか、「質問箱」で「公式アカウントで実施してほしい企画」を募り、「コクヨの文具を使用しているフォロワー」とのコラボライブを配信したことも。こうした取り組みで、フォロワーに「『コクヨの文具の価値』をともにつくっている『共創』的な感覚が生まれていきました」と武市氏。

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