企業理念や目指す方向性が伝わってくる展示(1)
企業の軸となる理念、創業精神。それをもとに積み重ねた歴史、目指す未来。一言で伝えきれない大切なメッセージをどう伝え共感を得ているのか。企業ミュージアムの注目展示を見ていこう。
企業ミュージアム 五感に訴えるコンテンツ編集術
普段、使っている商品の裏にある、技術力は企業努力のたまもの。そうした技術力や商品力から企業の魅力を伝えるには、五感に訴える展示が有効だ。
資生堂で100年を超え研究されてきた、化粧品に応用される技術を、実験や映像を交えて体験できるサイエンス×アートゾーン。そこには「香りをブレンドさせて、新しい香りをつくってみよう」「泡の弾力とキメの細かさを比べてみよう」など、問いかけが表示されている。
泡立てや紫外線照射などの実験もでき、来館者が自ら見て、触れて、積極的に関与し「美」について考えたくなるような仕掛けだ。また同社研究員が、生活の中で感じる「なぜ?」に答えるようなワークショップも開催しており、技術、開発に携わる研究員の仕事に対する憧れを醸成する機会をつくっている。同館の展示品の収集や保管は、静岡県掛川市にある資生堂企業資料館が担う。
ラボ、オフィス、一般開放エリアからなる「資生堂グローバルイノベーションセンター」(愛称S/PARK)は、ビューティーの新しい価値を生み出す16階建ての複合施設。1階はカフェなどがあり、2階がミュージアム。創業以来、資生堂に根付く美意識や未来に向けた革新性を印象付ける展示が並ぶ。来館する生活者とのコミュニケーションから、研究員に新たなインスピレーションが生まれることも開設目的のひとつ。
館の形態:資生堂グローバルイノベーションセンター内2フロア
収蔵品数:約800点
平均滞在時間:30分
ステークホルダーと協働しサステナブルな社会を目指す花王。花王エコラボミュージアムでは、同社のエコ技術を体験することができる。製品の原材料の調達から、製造、輸送、使用場面、廃棄・リサイクルまでのライフサイクルに沿って展示を構成。容器のコンパクト化や詰め替えによってゴミの体積がどれほど減るかを...