企業の軸となる理念、創業精神。それをもとに積み重ねた歴史、目指す未来。一言で伝えきれない大切なメッセージをどう伝え共感を得ているのか。企業ミュージアムの注目展示を見ていこう。
SPOT 06
震災で焼けた時計と再起のストーリー
セイコーミュージアム銀座の2階「常に時代の一歩先へ」では、関東大震災で焼けて溶けてしまった懐中時計(写真下)とともに、工場が全焼した時のエピソードを展示。この震災によって、修理用に預かっていた時計約1500個が焼失したが、創業者の服部金太郎は「同等の新しい時計を無償で返す」と広告。顧客からの信頼を重視する姿勢を貫いた。
また、世界で初めて発売された、電圧で振動するクオーツ(水晶)の性質を利用した腕時計など、時計の歴史を切り開いてきた製品を実物展示。様々な国際大会で使用された計測システムの展示で、スポーツの世界で歴史的瞬間を記録する技術力も訴求している。
東京都・中央区
セイコーミュージアム銀座
1981年、製造工場内に「セイコー時計資料館」として設立。2012年より「セイコーミュージアム」に名称変更し、一般に公開。2020年に創業者生誕160周年記念に銀座へ移転、「セイコーミュージアム銀座」に名称変更し、セイコーの歴史とブランドストーリーを創業の地・銀座から発信している。そのほか時と時計の歴史が学べるフロアもあり、子ども向けにはワークショップも開催。腕時計組み立て体験が人気で、時計に興味を持ってもらう入口になっている。
SPOT 07
卓球ラリーで体感、人と機械の未来
オムロンコミュニケーションプラザ内2階技術のフロアにある、卓球ロボット「フォルフェウス」。オムロンのコア技術「Sensing & Control+Think」の象徴として位置付けられており、単にロボットが玉を打ち返すだけでなく、プレイヤーの動きや表情、脈拍などのバイタルデータを読み取り、相手の能力を引き出す最適な返球や、適切な打ち方のアドバイスをしてくれる。機械が人のやる気と能力を引き出す「融和」の世界、オムロンが目指す人と機械の未来を卓球ラリーで体感できる。
京都府・京都市
オムロンコミュニケーションプラザ
歴史のフロアと技術のフロアの2階構成。歴史のフロアでは社会背景を交え、どのように「ソーシャルニーズの創造」を実現してきたかを当時の商品と共に訴求。1月リニューアルした技術のフロアでは、社会的課題の解決ソリューションを実体験できるデモ機で、特別な経験として印象に残るよう工夫している。
SPOT 08
月面タイヤはイノベーションの象徴
月面探査車ローバ専用の「月面タイヤ」を、未来へのイノベーションを体感できる「WHERE WE GO」エリアに展示。トヨタとJAXAを中心とした「国際宇宙探査ミッション」で使用するタイヤで...