「ユーザーファースト」の人材サービス事業やDX事業を手がけるディップ。今回は、持続的な成長を遂げるために、企業のフィロソフィーを社内で醸成する3つのステップについて、同社が取り組んでいる事例を挙げながら解説した。
出所/ディップ
「私たちdipは夢とアイデアと情熱で社会を改善する存在となる」を理念に、人材サービス事業やDX事業を担うディップ。社員数は2257人(正社員・2022年12月1日時点)で、独自の戦略・サービスにより急成長を遂げている。
求人サービスでは、ユーザーがより適した職場を見つけることができるよう業界初の様々な機能を取り入れ、マッチング精度を高めている。例えば、動画を活用した職場紹介サービスは、ガラケー全盛期の12年前から始めたもの。また事前に仕事の体験・見学ができる機能や、第三者視点から職場や仕事のリアルな情報を伝えるサービスも好評だ。
こうしたサービスを世に広げ、持続的に成長するには、社員一人ひとりが「何のために取り組むのか」を理解すること、つまり「フィロソフィー」の醸成が重要と語るのは、同社人事総務本部 人材・組織開発室 シニアマネジャーの上野麻佑子氏。そこで「フィロソフィー」を醸成し、社内に根付かせていく方法を3つのステップを用いて説明した。
個々の軸や考え引き出す呼び水
同社の「フィロソフィー」とは、企業理念やビジョン、ブランドステートメント、行動規範、行動精神などすべてを包含する。社内に伝播させる最初のポイントは、社内で大切にしたい原理原則=「フィロソフィー」と、認識を統一することだという。
その上で上野氏は「フィロソフィー」を、トップが一方的に浸透させるのではなく、社員が自らの志を思い起こすものと捉えることも重要だと話す。「フィロソフィーによって個々のアスピレーション(熱意や向上心)が引き出され、これを実現するためのアイデアが湧き出る、そんな状態を目指しています」と語る。
フィロソフィーを根付かせる最初のステップ(❶)が、「見える化する」こと。ここではフィロソフィーを明確に定義し、その背景にある「論理」と「思い」の両面を社員に伝えることを指す。同社では、年1回の社員総会などで、社長がフィロソフィーへの思いやストーリーを自らの言葉で伝達する。同時に年ごとに変わる注力テーマも伝え、それに合わせた演出を盛り込むといった工夫で社員の共感を引き出し、心に訴えかけることを重視している。
また思いを「伝える」ために「映像の力」も活用。コロナ禍では「会社のピンチを乗り越えた歴史からフィロソフィーを学ぶ」映像や、社員が仕事で発揮するフィロソフィーを「見える化」する映像を制作し、社員総会でも上映した。さらにウェブ社内報で、フィロソフィーに日常的に触れる機会も創出。経営層や...