報道対応を担当するPRパーソンにとって、気になるのがメディアの裏側。企業取材のスタンスや、プロデューサーや編集長の考えに迫ります。
ベネッセコーポレーション『たまごクラブ』DATA | |
---|---|
![]() |
2023年で30周年を迎えるマタニティ雑誌の『たまごクラブ』(ベネッセコーポレーション)。育児雑誌の『ひよこクラブ』と合わせて、「たまひよ」は妊娠~出産から子育て中のママ・パパにおなじみの雑誌だ。
2022年4月に「たまひよ」は新創刊した。妊娠・育児期を成長時期別に分けた合計6冊体制で、月刊誌から年4回の発行へとリニューアル。『たまごクラブ』は妊娠2・3・4カ月向けの『初めてのたまごクラブ』、妊娠5・6・7カ月向けの『中期のたまごクラブ』、妊娠8・9・10カ月向けの『後期のたまごクラブ』に細分化した。それぞれの時期で読者が最も関心あるテーマを、より細かく掘り下げている。
Z世代を意識しデザイン一新
出生数は過去最少ペースとなり、少子化は加速の一途をたどる。そのような中で、時期ごとにターゲットを細分化し新創刊に至ったのはなぜだろうか。編集統括の米谷明子氏によれば、月刊誌体制では1冊の中に妊娠初期から後期までの情報をまとめて掲載する必要があったため、「つわりの症状」「出産準備」など妊娠期によって知りたい情報にズレが起きていた。
また、変化する読者の情報の取り方にも対応した形だ。「ネットやSNSで誰しも自由に情報を得られる時代ではありますが、『今の妊娠時期に必要な情報だけがまとまったものを読みたい』というニーズが高まっていると強く感じました。コロナ禍により産院で教わる両親学級などにも制限がかかることも多い中、時期別に分けることで、これまで以上に読者に寄り添った情報を届けることができると考えました」。
リニューアルに伴いデザインも一新。誌面は図表や写真で視覚的にわかりやすく、表紙は読者がシンプルできれいなビジュアルを好むことから各誌異なるパステルカラーにした。それは、やがて「たまひよ」の読者になるZ世代を意識したものだ。
「出生率も結婚率も低下しているとはいえ、『たまひよ』が実施した大学生を対象にした調査では『将来結婚したい』『将来子どもを持ちたい』と考える人がそれぞれ80%以上もいることが分かりました。彼・彼女たちが『素敵だな』と思える雑誌を作ることが、妊娠や育児に希望を...