宣伝会議が2021年12月に上梓した『未来の授業 SDGsダイバーシティBOOK』。その監修を担当した佐藤真久 東京都市大教授がセミナーを開催。内容の一部を紹介する。SDGsの背景から、今取り組む必要性を実感してもらいたい。
持続可能な開発目標、通称SDGs──今や企業のビジネスパーソンのみならず、生活者にも広く浸透したこの言葉。17の目標、その達成を通じ、地球環境の保全を目指す動きだ。しかし、なぜこうしたキーワードが生まれたのか、その背景や企業のサステナビリティ経営とのつながりについて、佐藤真久氏が説明した。
課題の“つながり”が顕在化
未だに世界全体を巻き込んだ課題としてあるのが新型コロナウイルス感染症、そして最近ではロシアによるウクライナ侵攻だろう。しかし、ニュースで頻繁に取り上げられなくとも、日々深刻化する課題は山積している。
「例えば高齢化の問題。これは日本の課題だと皆さん思いがちですが、これは今ベトナムやタイなどでも問題として顕在化してきています」。つまり、今までは先進国のみ、もしくは発展途上国のみ、とされてきた課題が実は“つながっている”と認識され始めたのだ。「その他にも自然災害、生物多様性、エネルギー問題等々、様々な問題が実はつながっていること──それが顕在化してきたのが現代の特徴だと言われています」。
そうした問題は国境を越え、さらにニュースはインターネットを通じて瞬時に届くように。つまりエリアレスに、タイムレスに“つながっていること”が顕在化したのだ。
「さらに、最近、私は車のディーラーを訪ねたんですね。そうしたら、こんなことを販売店の方に言われたんですよ。『ウクライナで、自動車用の半導体関連部品をつくっているのですが、ウクライナ危機により、その関連部品をつくることができなくなってしまったのです』と。また、中古車はロシアにも輸出していたそうで、今、中古車輸出が禁止されているものだから、物流がストップしてしまっているってことなんですね。こういった生活者の日常の出来事が実は...