センターでは観光施設のユニバーサルデザイン化におけるアドバイスも実施。旅の楽しみを優先したUD化の活動が伊勢市にも認められ、バリアフリー観光向上事業を日本で初めて市単位として事業化しました。

伊勢市バリアフリー観光向上事業でバリアフリー改修した古い和風旅館のUDルーム。一般の健常者にも人気で常に予約が埋まっている。

手すりを強調しないよう一方の手すりは木製の柵、壁際の手すりは広い幅木が手すり代わりになるようにしている。
伊勢志摩バリアフリーツアーセンターはバリアフリー観光に関わる情報発信や相談業務と平行して、観光施設、とりわけ宿泊施設のユニバーサルデザイン化(UD化)におけるアドバイスを業務として行っています。そして私たちのアドバイスや指導によってUD化された宿泊施設は、宿全体の売上が著しく増加しています。
増客という結果を出している要因も、パーソナルバリアフリー基準の考え方です。思い出していただきたいのが前回述べた、身体の不自由な方々が観光旅行に出かけたいと思う動機は「バリアフリーだから出かけるのではなく、行きたい(魅力のある)ところだから出かける」という真実です。
観光施設をやみくもにUD化しても、例えば行政の定める公共施設のUD条例などに沿ったUD化をいくら推し進めても、バリアフリー観光マーケットを誘致する力にはなりません。それどころか障害者の多くには魅力のない施設と思われ、当然健常者の観光客からも敬遠されてしまいます。
楽しみや魅力を優先したUD化
パーソナルバリアフリー基準によるアドバイスでは、まず、宿泊施設の魅力や特徴をいかに多くの人々にアピールできるかどうかを考えます。大切なのは「いかに多くの人々に」という点です。これこそが本来のユニバーサルデザインの考え方であると同時に、パーソナルバリアフリー基準の考え方の根幹です …