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新潮社が新刊のキャンペーンで AI vs.編集者のコピー対決を実施

新潮社は、全文を無料公開して話題となった『ルビンの壺が割れた』の著者、宿野かほる氏の新刊『はるか』(6月22日発売)のキャンペーンでAIと編集者の「コピー対決」を実施し、AIの能力の高さが浮き彫りになった。

「AI vs.編集者 コピー対決」のクイズ画面。

新潮社は6月22日発売の小説『はるか』(宿野かほる著)のプロモーションのため、6月11日~21日に電通のAIコピーライター・AICOを使ったキャンペーン「AI vs.編集者 コピー対決」を実施した。

『はるか』は「AI+純愛」をテーマにした、近未来の愛を予言するかのような恋愛小説。人工知能の研究者が生み出した画期的なAIが物語の核となっていることから、「AIの能力がどこまで開発されているか」を実感できる企画をつくった。

AIと人間の見分けはつくか

AICOは2017年に電通と静岡大学情報学部の狩野研究室(狩野芳伸准教授)が共同開発したAI。2016年度の「新聞広告クリエーティブコンテスト」(日本新聞協会主催)では16作品がファイナリスト入りするなど、すでに数多くの実績がある。

キャンペーンでは、AICOと新潮社の担当編集者が計70本以上のコピーを考え、それらを並べてどちらが作成したものかを当てるクイズを実施した。特設ウェブページにアクセスすると、毎回ランダムで8問の問題が出題される仕組みだ。

同社宣伝部によると、全問正解者の中から抽選でプレゼントが当たるという企画で、社内でも平均正答率は65パーセントと超難関。宿野氏自身も半分しか正解できなかったといい、「50%という正答率は、AIに勝利したのか敗北したのか、よく分かりません。もし、このクイズを(他の)AIに答えさせてみたらどんな解答率を出すのか、非常に興味があります」とコメントした。

人間の創造物は過去の模倣

宿野氏は、前著でデビュー作である『ルビンの壺が割れた』(2017年8月発売)の刊行時から、新しいプロモーション施策を積極的に取り入れている。前著は編集者が「すごすぎてキャッチコピーがつけられない!」として、ウェブで全文を無料公開し、読者からコピーを募集した。このキャンペーンは大きな反響を巻き起こし、覆面作家のデビュー作としては異例の7万部超えを記録した。

『はるか』では、編集者がコピーを考案したものの、AICOがつくったコピーを見て「もしかして、人間の書いたコピーより、AIのコピーのほうが素晴らしい?」と驚いたことがキャンペーンにつながったという。

宿野氏はAIの持つ可能性について、「人間が生み出す創造物に、完璧にオリジナルなものはありません。すべては過去の模倣と、その組み合わせです。その技術の高い人が、偉大な芸術家と呼ばれます。AIがその技術を身につければ、優れた創造物を生み出すでしょう。それはもう、すぐそこまで来ていると思います」とコメント。

今後のAIの進化については「現在、人間によるすべての知的労働を、AIが代替することは可能でしょう。それどころか、人間以上の精度で行なうことができるのでは。人間の領域は『愛』や『憎しみ』といった感情の部分ですが、それさえもAIはそっくりに表現できるはずです」と予想した。

6月22日に発売した宿野かほる氏の新刊『はるか』(新潮社)。

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