成長企業の社長たちが"今気になる社長"に挑戦状を突き付ける!急成長の裏に潜むPR戦略の秘密は、果たして明かされるのか……?
Q.老舗企業を急成長させたリブランディング戦略とは?
「302年目のスタートアップ」と言われるほど大きな業態転換を図り、急成長されている中川政七商店。その肝になったのが、ブランディングではないでしょうか。2002年に入社されて以降、どのような戦略を立てて実施していかれたのか、教えてください。
(マークスアンドウェブ 代表取締役社長 松山剛己氏)
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A.ビジョンの制定・浸透や産地視察の実施など 社員の教育を通じてブランド力を強化しています。
(中川政七商店 代表取締役会長 十三代 中川政七氏)
松山さんとは年に2度くらい、good design company代表取締役の水野学さんと3人で集まって「山野川会」(各人の苗字から一文字をとって命名)を開いています。マークスアンドウェブと中川政七商店は、老舗企業のリブランディングで成長を目指してきた点で共通しているんですよね。
「政七まつり」でビジョン浸透
中川政七商店は1716年に奈良市で麻織物の問屋として創業した、300年以上の歴史を持つ企業です。私は富士通での勤務を経て2002年に常務取締役として入社したのですが、まず取り組んだのが担当していた雑貨事業部の黒字化でした。生活雑貨ブランド「粋更kisara」の立ち上げと直営店「遊 中川」の展開とともに、工芸業界初のSPA(製造小売)業態を取り入れ、2~3年で数字が付いてくるようになりました。
環境が安定してくると、社員の働きがいを整備する段階に入りました。「私たちは何のために働いているのか」と考えたときに、土台になる「社是」がないことが気にかかり、2007年に「日本の工芸を元気にする!」というビジョンを制定しました。
「元気」という言葉には2つの意味が込められています。ひとつは工芸の担い手の皆さんが経済的に自立すること。2つ目は、後継者不足などで衰退しつつある日本のモノづくりの"誇り"を取り戻すことです。我々の仕事には社会的意義があるのだと実感してもらうことが狙いでした …