審査員総評
審査をしていて、企画書として大事だなと思ったことがあります。① 企画をよく見せようという後付けロジックではなく、必要なロジックだけがあること。「人が本当に動くかどうか」を素直に考えたのか、が表れること。② コンセプトは抽象的でもいいが、企画部分はビジュアル含めて具体的で、実施イメージが沸くこと。「何だっけこれ」と考えさせる余地を与えないこと。もちろんデザインがかっこいい必要はないですが、企画書は「伝えるため」にあるので、工夫も必要です。皆さんの熱量が刺激的でした。お疲れ様でした!
販促コンペご参加の皆さん、お疲れ様でした。事務局から、今年の審査開始のご案内をいただいたちょうど当日、京橋駅の駅構内で、昨年受賞した「コアラマットレス」の駅貼りを発見しました。他人事ながら嬉しくなりました。その広告を見ながら思いました。例年レベルアップしているコンペだから、今年も世の中に出る作品がきっとあるに違いない、慎重に丁寧に評価しないといけないと。330の作品審査は楽しく進みました。もしも実装されたら、率先して体験したい、SNSに書き込みたい作品にはポイントを加算しました。
今回、審査する中で印象的だった企画の共通点は「視界の中にありながら普段は見過ごしているモノに焦点を合わせたアイデア」。盲点をつかれると「やられた」や「なるほど」が生まれ、実現したら自分も動くなと想像させられました。実は答えやヒントは身近なところにすでにあって、視野を広げることより、まずは視点や視力を磨くことで何かが見えてくると思います。あとは視座が高いとよりすばらしい。アイデアで世の中を変えようとする意識や意志こそが、人と心を動かす力になるはずです。
「人間くさいアイデアの強さ」。AIに聞けばいろいろなアイデアをもらえる時代になりました。ただ今のところは、AIからは出てこない人間味あふれるアイデアこそ評価されていると思います。思わずツッコミたくなったり、なるほどと目から鱗が落ちたり、心が熱くなったりほっこりしたり。人間の感情を揺さぶる、テキストだけでは説明できないようなアイデアにこそ人が動くリアリティがあります。様々な情報がすぐに手に入るデジタルな時代だからこそ、改めて人が人らしく考えた人間くさいアイデアの強さと大切さを感じました。
刺激的なアイデアにたくさん出会えて、とても楽しく審査させていただきました。改めて、ターゲットのインサイトを深掘りできているアイデアは強いですよね。いま、世の中の人々がどんなニーズを持っているのか。常日頃から人や社会を、よく観察することが重要なのかなと思います。また観察という点では、アイデアが被らないように様々な切り口を考えることが、物事をあらゆる角度から捉えてみる訓練にもなっていると思うので、今回受賞できなかったとしても、販促コンペに参加した経験は今後に活かしていけるのではないかと思います!
価値観やテクノロジーのアップデートによって変化してきた生活者の振る舞い。そこに合わせた鮮度のあるアイデアが多く見られました。ただ最新トレンドを捉えたアイデアは新鮮に見えるものの、同じタイミングで多くの人が同じ発想に至っている可能性があります。コンペでは、やはりユニークなものが目立つため、独自のアングルで人や商材を見つめ、導き出したアイデアが光って見えました。その中でも生活者のインサイトとクライアントの課題を接続し、まだ世にないあるべき表現・体験を提示した企画が抜きん出たのではないでしょうか。
今回は甲乙つけ難いものが多くて悩みました。実現性が高く、大きな反響を生んで人を動かすという根幹は変わらずとも、どんなタッチポイントからでも広がりが見込める時代に、フォーマットフリーな...