新規事業を立ち上げる際に課題のひとつとなる認知拡大。対象者に自社サービスへの信頼感を持ってもらうためにはどのような施策が有効といえるのか。共通の問題意識を持つ自治体との協業によって生まれる利点について話を聞いた。
空き家所有者と、解体工事会社とのマッチングサービスを提供するクラッソーネ。社会課題化する空き家問題の解決を目的に、2021年より自治体との協業をスタートした。
社会問題へのアプローチ
近年、社会問題として取り上げられることも多い「空き家」。自治体でも利用予定のない空き家の放置を問題視しており、空き家解体への補助金制度などの整備を進めている。しかし、その対象は老朽化して新耐震基準を満たしていない空き家のみとなっていることが多い。
「突然、実家の一戸建てを相続することになり『まだ使用可能な建物だけど地元に戻るつもりはない』といった方は補助金制度の対象外となってしまうわけです。こういったケースだと、結果的に空き家はそのまま放置されてしまうことがほとんど。自治体としても、早急に対応しなければならない老朽化した空き家が増え続けるなか、補助金対象外の生活者層へのアプローチに課題を感じていると、神戸市の方からお話をいただきました」と同社の執行役員 山田浩平氏は語る。
補助金が使えない生活者に対して、自主的に解体を選択してもらうために、何かできることはないかと考えていた神戸市。2021年に出展したイベントでの出会いが同社との協業につながったという。
2022年には、クラッソーネと神戸市で「空き家の解体促進に関する連携協定」を締結。自治体の市役所やHPにてクラッソーネが提供する「解体工事一括見積りサービス」の紹介を始めた。現在では、同じような課題を抱える61の自治体と協定を締結している。
チラシで潜在層の開拓
協定内の具体的な施策には、自治体窓口でのクラッソーネのチラシ配布がある。また、自治体から空き家を所有している住民に向けて送る指導通知書・納税通知書の中にチラシを同封する施策も実施。自治体からの発信で「空き家を解体・売却する可能性が高い人」へピンポイントで情報提供することが...