時代を超えて様々な世代に愛される「ビックリマンチョコ」。消費スピードやブランドの入れ替わりが激しい現代に、長く顧客から愛されながら挑戦を続けるブランドの戦略についてロッテの本原正明氏が語る。
年間4億個売れた時代から一転 ブランドの危機に
ビックリマンチョコは1977年に発売されて以来、お客さまに長く愛される商品となりました。「人をビックリ・ドッキリさせる」というコンセプトのもとに誕生して、最初は血糊や釘のシールを机などに貼って人を驚かせるという遊び方だったところから、1985年に「悪魔VS天使シリーズ」と銘打って、今日の人気につながるキャラクター路線へと変わったのがビックリマンチョコの歴史です。
「悪魔VS天使」が受け入れられた理由はいくつかありますが、その中でもビックリマンチョコの根幹に関わっているのが、「どんなシールが出てくるかわからない、おみくじのようなドキドキ感」です。「ヘッド」と呼ばれるキラキラ光るシールは当時なかなか当たらず子ども心をくすぐりました。このヘッドシールはその希少性から高い価値が出て、当時の子どもたちを大熱狂させました。
また、シールの裏書きで展開されたストーリーも大きな魅力となりました。裏書きで語られたストーリーは、マンガやアニメやゲームに派生していって、メディアミックスによってどんどん世界が膨らんでいきました。
このように、年間4億個売れた第一次ブームを経て、1999年の第二次ブーム、そして現在の第三次ブームへと、ビックリマンの人気は引き継がれています。しかし、この第三次ブームに至るまでには、多くの課題を乗り越える必要がありました。
私がマーケティングを担当し始めた2013年にビックリマンが抱えていた課題は、「古いイメージの払拭」と「ブランドの継承不足」です。
丁寧に段階を踏んだマーケ活動によって再ブーム化を実現
「かつて一大ブームを起こしたけれども、『昔、すごいブームがあった商品』としてしか認識されておらず、今や1985年当時に子どもだった人たちの大人買いによって支えられているブランドになってしまった」ということです。そこで、私は目指す姿を「全世代の人が超熱狂したくなる、今の時代を生き抜けるブランド」と定義し、新規ファン層へのアプローチを始めました。
ターゲットにしたのは、子どもから20代といった「ビックリマンに親しみのない世代」と、「当時は買っていたけども、今は買っていないライトな世代」です。
マーケティング活動においても、いきなりみんなが興味を持ってくれるわけではありませんので、マーケティング活動を三つの段階に分けて施策を行っていきました。
第一段階は「種まき期間」ということで、ビックリマンというブランドを知らない方に知ってもらう、興味を持ってもらう取り組みです。ももクロやモンスターハンターや...