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SIMC 特別講演レポート

人の価値観を尊重することではじまる LGのコミュニケーション術

宇佐美夕佳氏(LGエレクトロニクス・ジャパン)

韓国発の総合家電ブランドLGエレクトロニクス。LGが顧客接点を広げていくうえで大切にしていることが、「価値観」だ。「ユーザーエンゲージメント」を高めていくうえで、何を考え、どのようなことをしているのかLGエレクトロニクス・ジャパンの宇佐美夕佳氏が語る。

モノ主役のビジュアルから「満足感」を想起させるビジュアルへ

コロナ禍によって、働き方を中心に人々の生活環境は大きく変化しました。併せて、人々の価値観も隠れていた多様性が露呈したと感じます。そんな中で顧客接点を広げ続けるには、コミュニケーションのやり方そのものを根本的に見直す必要があると考えています。

LGエレクトロニクスでプリセールスからポストセールス、かつ、製品販売後のコンシューマーマインドまで見ているマーケティング責任者として、お客さまのここ一年の変化について知見を述べさせていただくと、「モノは存在しない。ライフスタイルの実現にこそお客さまの心は動く」と、「マスはストーリーが続かない。スモールを広げること」という二点に尽きるといえます。

まず、「ライフスタイル実現にこそ心が動く」ということについて、LGのテレビの事例で説明します。従来、テレビのカタログというと、「テレビという商品そのものが真正面に鎮座していて、隅にLGのロゴや『4K』などのスペックを示唆するマークがある」形式がスタンダードでした。いわば、モノを主役にお客さまへ訴求していたわけです。

しかし、テレビというモノをただの商材ではなく、「お客さまはこのテレビを使って、どういう未来を実現したいと思っているのか」と一歩進めて考えたときに、ビジュアル面で大きなシフトが起きました。2021年のカタログからは、「コンテンツに触れたときに浮かぶいろんな表情を切り取り、このテレビを通して得られる感情」を表現しています。

テレビというものは、人種や年齢、性別にかかわらず、多くの皆さんが使用するモノです。皆さんそれぞれ、例えば映画を観る方もいれば、スポーツ観戦を楽しむ方、ゲームで遊ぶ方、VODを通じて多様なコンテンツに触れる方と、いろいろなケースがありますが、それぞれの「満たされる」という部分に焦点を当ててビジュアルを大きくシフトさせたというのが、2021年からのカタログの変化となります。

「ライフスタイル実現にこそ心が動く」という考えで、4Kテレビのパンフレットビジュアルを大きく変更した。

消費者の心を動かすのは「この製品は自分を満足させる」という実感

同様の変化は、新しい家電の場合にも起こります。LGはStylerという衣類ケア家電を売り出した際に、「Stylerがある生活」という視点でお客さまとのコミュニケーションを図っていきました。Stylerは除菌をしたり、食事やタバコのにおいがついてしまった洋服の消臭をしたり、除湿や低温乾燥をしたりと、生活空間に入り込む家電です。なので、SNSやWebを通したコミュニケーションのときには、使っているシーンとして衣類等、ファブリックのそばに置いたり、Stylerが...

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