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下見ついでに地方に旅行したいワタシ

草場 滋

イラスト:高田真弓

若い夫婦が将来の「移住」の下見も兼ねて、地方のワンランク上の温泉旅館に滞在する旅が、今年下半期のトレンドになるかも。


5月25日、緊急事態宣言がすべての都道府県で解除されるにあたり、にわかに注目を浴び始めた言葉がある。「ニューノーマル」だ。“新しい日常”などと訳されるが、要は、新型コロナウイルスによってもたらされた、ここ何カ月の行動様式の変化が、コロナの終息いかんにかかわらず──この先もスタンダードになるという意味合いだろう。

例えば、テレワークや時差出勤、オフィスの縮小や出張の削減など、行動様式の変化はコロナ禍のもとで一気に浸透した。今後、多少の揺り戻しはあるものの、僕らは着実に「ニューノーマル」な社会に向かって進んでいくと思われる。

となると、次の展開で想像できるのが──首都圏から地方への移住である。もはや高い家賃を払い、毎朝満員電車に揺られて首都圏に住み続ける理由は、以前ほどはない。物価が安く、自然が豊かで、新鮮な食材も手に入りやすい、天然のソーシャルディスタンスが備わった「地方」が見直されるのは必然だろう。とはいえ、移住するにはリサーチも必要だ。そこで、2020年下半期のトレンドとして注目したいのが、そんなリサーチも含めた地方滞在型の観光旅行である。

旅行業界を取り巻く前提として、各国で入国後14日間の隔離措置が取られており、2020年いっぱい、海外旅行は難しいだろう。インバウンド客数の回復は望めず、同様に日本からの海外旅行も期待できない。ちなみに、2019年の訪日外国人旅行者数が約3000万人だったのに対し、出国日本人数は約2000万人。プラスに考えると、海外旅行客が今年、国内旅行に転じたらインバウンド客数の減少分をある程度は補填してくれるかもしれない。

加えて、観光業などを対象とした国の需要喚起策「Go Toキャンペーン」がある。一人あたり、旅行代金の5割が助成されるのはやはり魅力的である。とはいえ、観光地に人が密集して、“3密”が起きるようでは本末転倒だ。ここでも、ある意味「ニューノーマル」とも言うべき新しいカタチの旅行が注目されるのではないか。

そう、例えば地方の温泉地、それもワンランク上の温泉旅館に滞在する旅はどうだろう。旅館なら部屋で食事は取れるし、最近は客室内の露天風呂も珍しくない。つまり、ソーシャルディスタンスを確保しながら、旅を満喫できるのだ。

2020年の観光地イベントは軒並み中止が予想されるが、そこは逆転の発想で──その土地で“暮らす”ように、自然や新鮮な農産物を堪能する。これが若い夫婦なら、その旅は将来の移住先へ向けた下見になる──なんてことも。

草場 滋

メディアプランナー。エンタテインメント企画集団「指南役」代表。テレビ番組『逃走中』(フジテレビ)を企画。著書に『「考え方」の考え方』(大和書房)、『情報は集めるな!』(マガジンハウス)、『「朝ドラ」一人勝ちの法則』(光文社新書)、本連載をまとめた『買う5秒前』(宣伝会議)ほか。

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