購買行動プロセスの理論構築を目指す
佐藤ゼミは2005年の4月に設立され、14年度は3年生、4年生合わせて12名が学んでいる。指導を担当する佐藤栄作教授の専門はマーケティングサイエンス、中でも消費者の購買行動モデルを中心に研究を進めている。これは佐藤教授が流通経済研究所に所属していた時から扱ってきた研究テーマだ。研究では、消費者が来店し購買に至るまでのプロセスを段階ごとに細分化し、その一つひとつについてデータを元に数理的モデルを作成、消費者行動の特徴を明らかにしようとしている。現在注力しているのは、消費者が店舗に入ってから、購入する商品を選択するまでの行動だ。「例えば、商品をどのように見ているかという視認の仕方をアイカメラで特定したり、客動線調査の実測データから行動の特徴を見つける客動線モデルを作成したりして分析しています」と話す。
こうした消費者行動の各プロセスを分析し、最終的には一連のプロセスを理論的に説明するモデルにまで発展させたいと佐藤教授は考えている。この分野の研究者と成果が少ないというが、このモデルを確立できれば「商品の配置場所と店舗の設計による購買行動の変化を分けて評価できるようになり、店舗の設計や商品の置き方、プロモーションスペースの作り方などが理論的に行えるようになるのではないか」と言う。こうした研究を積み重ね、先人の研究成果も組み合わせながら「来店からブランド選択に至るまでの購買行動プロセス全体を説明できる体系的な理論書をまとめるのが私の大きな目標です」と佐藤教授は言う。
また小売りなどが導入しているオムニチャネル化の動きにも注目している。リアルとオンラインの連動・連携は、消費者の購買行動としては今や当然のこととなっており、こうした仕組みがつくられることで「取得できるデータから新たな消費者行動のモデルが見えてくるのではないかと期待している」と話す。
千葉ロッテらと組んだデータ分析
ゼミでは、企業からの課題をもとにマーケティング施策の提案を行う、早稲田大学の守口ゼミ、慶應義塾大学の里村ゼミとのインターゼミナールや ...