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観光学の視点

サービスの消費行動

鎌田裕美氏(一橋大学)

「返金は受け付けません」リスクの高い旅行という買い物

「今回はどんな感じにしますか」と聞かれ、私は「軽め、さっぱりでお願いします」と答えます。ワインを選んでいると言えればカッコいいですが、美容院での会話です。無頓着で知識も皆無なので「軽め、さっぱり」となるわけです。長年、お世話になっている美容師さんは毎回笑顔でOKし、仕上げてくださいます(ありがとうございます)。しかし、美容院や美容師からしたらこのオーダーは不安かもしれません。ヘアカットは完成しないと、客が気に入るかどうかがわからないためです。完成後に「気に入らないから代金は支払わない」と言われても諾するわけにはいきません。「軽め、さっぱり」のように、人によって感覚が異なる希望なんてやめてもらいたいでしょう(すみません)。このように、サービスは「気に入らずとも払ってください」、事前払いならば「返金は受け付けません」という性質のものです。サービスの特性には無形性があり、サービスは購入前に存在せず、体験後に価値を認識できます。体験前に支払う購入者の購買リスクは高くなるため、企業は物理的要素(フィジカル・エビデンス)を加えるなどしてサービスのイメージを伝え、購買リスクを下げています。

サービスの特性にはほかにも、その時々によって質が変わる「変動性」、貯蔵できない「消滅性」、生産と消費が同時に起こる「同時性」があります。

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