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自治体企画は周年事業のショーケース

新幹線開通にスタジアム建設、変わりゆく長崎県を県民と共有する150周年企画

山本利文氏(長崎県)

明治4年(1871年)の11月14日に誕生した同県は現在、大きな変化の時を迎えているという。そのひとつが、西九州新幹線開業に伴う街の変化だ。変化の時にある長崎の未来を県民と共有し、大きな課題である「人口減少」解決の切り口にしようと考える、同県の周年事業について、企画部政策調整課の山本利文氏に聞いた。

大きな変化を迎える今だからこそ長崎について皆で共有したい

古代から大陸との交流を行い、江戸時代の鎖国下では日本で唯一西洋に開かれていたとされる「出島」も有する長崎県。

明治4年7月に廃藩置県が行われたのち、同年11月14日に長崎、島原、大村、平戸、福江の5県が合併し、新たな長崎県が誕生した。

現在の長崎県は21の市と町から成り立つ。県の総面積の約45.5%は“島”というほど多くの離島を持ち、海岸線の長さは全国2位。日本遺産第一号である「国境の島 壱岐・対馬・五島」や世界新三大夜景にも数えられる長崎市の夜景など、観光名所も多い。

そんな長崎県は150周年記念事業において「長崎県の歴史を知り、これからの長崎を県民と共有する」をコンセプトとしている。

150周年事業を担当する長崎県企画部政策調整課の山本利文氏は、「長崎県は現在、100年に一度と言っても過言ではないほどの変化の時を迎えています」と話す。

2022年度には九州新幹線西九州ルート(武雄温泉〜長崎)が開業予定のほか、IR(統合型リゾート施設)誘致計画や、サッカースタジアムを核に、アリーナ・オフィス・商業施設・ホテルなどの周辺施設を民間主導で開発するプロジェクト「長崎スタジアムシティプロジェクト」が進行するなど、街が変わるタイミングを迎えているという。

「しかし、これらの変化について日々発信しているものの、住民の方に浸透するまで伝えきれていないという課題がありました」と山本氏。150周年を機にこれまでの歴史と、現在の長崎県を改めて知ってもらい、これからの未来について皆で共有意識を持ちたいという思いがあるという。

6つの県が合併し、ひとつの県となったルーツを持つ長崎県。それぞれ異なる文化のもと生活をしてきた人々の多様性を価値ととらえ、大切にしてくという。

プロジェクトメンバーは10名 各地域の多様性を伝える企画も

周年事業プロジェクトがスタートを切ったのは2020年の春。2021年度の予算獲得に向け、企画が立案された。予算獲得後、山本氏をはじめとする企画部政策調整課のメンバーを中心に、企画部内のほかの課にも応援を要請し、10名ほどのプロジェクトチームを発足。他部署や長崎県内の市町などを巻き込みながら、企画を実行へと移してきた。

具体的に周年事業では、「長崎県の未来に資する政策提言」の募集や「長崎県の未来」をテーマとした絵画・作文コンクール、上野彦馬、岩崎弥太郎といった、明治時代以降の長崎県の近代を代表する30人の功績を称えた企画展、長崎県長崎学アドバイザーである本馬貞夫氏がコーディネートする記念講演のほか、長崎県が誕生した11月14日には150周年記念事業の集大成として記念イベントがリアルとオンラインのハイブリット形式で予定されている。

「長崎県は5つの県の合併と翌年の対馬の編入により、ほぼ今のかたちの県になりました。それぞれの文化を持つ県が合併したことによる多様性が特徴だと考えています。この多様性を、今後、県の未来のために活かしていきたい。講演会ではこのような考えから、それぞれの地域の歴史の専門家を招いてのディスカッションを行う予定です」と山本氏。

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