消費者が国境を超えて世界中の商品・サービスを購入できる時代、グローバル企業ではどのような取り組みを行っているのでしょうか。オランダ・アムステルダムから連載でお届けします。

共に働いているメンバーたち。
多様性を絵に描いたようなフィリップスのグローバル本社
私はいま、アムステルダムにあるフィリップスのグローバル本社で世界市場向けの商品企画に携わっています。もともとは国内家電メーカーから日本のフィリップスに転職し、2017年7月からグローバル本社に勤務しています。多様な価値観を持つ本社での仕事は刺激が多いですが、今後は日本国内でマーケティングの仕事をしていたとしても、グローバル化の影響を受けることになるのではないでしょうか。この連載では、私が感じたグローバル本社での仕事と国内での仕事の違いについて、紹介していきます。
日本の国内市場がシュリンクしていることに加えて、消費者の購買行動がリアルからバーチャルへ広がり、ビジネスはますますグローバル化しています。違う国や文化の中で働くことは、ますます特別なことではなくなっていくでしょう。むしろ、これからのビジネスパーソンは多文化の中で働くスキルが必須のものとなっていくと思います。
私が働くフィリップスのグローバル本社は、多様性を絵に描いたような環境です。オランダ自体、国際企業の本部が多く、英語でビジネスが行われることが一般的であり、高スキル移民の報酬の30%にかかる税金を免除する制度があるなど、多様な人材が働きやすい環境を整えています。
その環境においても特にフィリップス本社は、マジョリティーの人種や文化がなく、全員がマイノリティーというような、真にダイバーシティを体現した環境といえます。社内では異なる文化のせめぎ合いが至るところで見受けられ、このダイバーシティの中で仕事をするためには様々なコツが必要になります。
ここでは、私の感じた日本の仕事環境との違い、グローバル環境でうまく仕事を回していくコツについてお話しします。
良いリーダーとはファシリテーターである
日本で働いていた時に求められていたリーダーシップは、意思決定をリードし、細かく明確なタスクに分類してチームと共有することでした。チームに対して明確な指示をすれば、皆がリーダーを信頼し、パフォーマンスを発揮してくれました。そこでグローバルチームでも同じように「日本流リーダーシップ」を発揮したところ、チームの反感を買い、一部のメンバーがついてこなくなるという大失敗を犯しました。
オランダの企業文化は平等主義が色濃く、日本の階層主義的な文化とは大きく異なります。頭では理解していたつもりでしたが、具体的にどのようなリーダーシップを発揮すればよいのかわからず、苦労しました …