日本唯一の広報・IR・リスクの専門メディア

           

コミュニケーション活性と企業ブランディングの実践

ブランド資産整えリブランディング 社内外巻き込み成長の土台整備

増田雄亮氏(松井証券)

5大ネット証券に名を連ねる松井証券は、2022年12月にリブランディングプロジェクトを実施した。コーポレートロゴやスローガン、ウェブサイトの刷新などで、コロナ禍で投資意識が高まった20~40代へのプレゼンスと認知の向上を狙う。

大正7年に創業し、100年以上の歴史を持つ松井証券。1998年に国内で初めて本格的なインターネット取引を導入し、20年以上事業を展開してきた。こうした中、市場変化によって生まれた課題の解決に向け、2022年12月にロゴやスローガンの刷新をはじめコーポレートブランドのリブランディングを行った。

これまでのロゴ(左)とリブランディング後のロゴ

プレゼンス・認知向上が課題

リブランディングプロジェクトのリーダーを務めた同社のマーケティング部長 増田雄亮氏は、市場変化に伴う課題について「新規顧客の獲得数の減少」「意図しないブランド認知の拡大」「分かりにくいブランド構造」の3つを挙げた。

まず「新規顧客の獲得数の減少」の背景について、コロナ禍の2020年以降、人々の生活様式が変化し、投資が世の中のトレンドになった。しかし同業他社が口座開設数を伸ばす一方、同社は横ばいで推移。この要因を増田氏は「口座開設の牽引役とされた20~40代の若年層へのプレゼンスが弱かったため」と分析しており、プレゼンスの向上が急がれていた。

それを裏付けるように、同社はネット専業証券にも拘わらず対面証券の業態と認知されていたことが、一般アンケートの結果から浮き彫りとなった。20~40代の多くはネット証券を利用しているため、ネット証券と認知されなければ彼らの選択肢にも入らない。まず正しい「ブランド認知」を広げる必要があった。

「ブランド構造」については、同社は長らく日本株のみを取り扱ってきたため「松井証券=日本株」というイメージが定着した形に。また2016年以降に米国株など取扱商品が拡大したが、商品毎に異なるコンセプトを設定したことでブランド全体の統一感に欠ける結果となった。プロモーション効率を上げるためには、コーポレートブランドと商品を紐づけた「ブランド構造」への変革が迫られていた。

課題整理と巻き込み体制が重要

そこで同社では、前述の3つの課題から社長直下の「リブランディングプロジェクト」をスタートした。まず、プロジェクト発足までのステップとして「ビジネス上の課題の整理」「リブランディングのスコープ(範囲)・取り組み内容の整理、ロードマップの作成」「関連部署のキーパーソンの巻き込み」「社長&取締役への提案」の4つを経たという。

「取り組み内容をイメージできた段階で、関連部署のキーパーソンに構想を伝え、社長、取締役に提案をする流れで進めました。中でも『リブランディングのスコープ(範囲)・取り組み内容の整理、ロードマップの...

あと60%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

お得なセットプランへの申込みはこちら
広報会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する