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職場の多様性と経営倫理

「キャンセルカルチャー」における世代間の理解と対話

谷 俊子(関東学院大学)

企業成長の原動力として注目が集まるのが組織の「多様性」。しかし多様な従業員が集まるからこそ、生まれる課題もあります。

東京五輪で音楽担当だった著名人が、開会式直前に辞任へ追い込まれました。幼少時の同級生へのいじめが発覚し、公に謝罪をしましたが、ネット上の世論が許さなかったためです。これは2016年頃から米国で始まったキャンセルカルチャーと呼ばれる風潮に分類されます。キャンセルカルチャーは、SNSの利用者が、有名人や企業の過去から現在までの差別的な発言やハラスメント行為を告発し、社会的地位から引きずり下ろす行為です。Me Too運動やBlack Lives Matter運動にかかわる一部の行為もキャンセルカルチャーに該当するものがあります。

SNS抗議、受止めに世代差

差別やハラスメントは許されない行為ですが、謝罪をしてもなお許されない、また過去に遡ってまで処罰する行為はやりすぎではないかとの声もあります。理解し合い、多様な考えを受け入れる社会とは逆で、分断を招くとの意見もあります。しかも処罰する側はSNS利用者。発言に責任を持たない匿名の人々が圧倒的多数の力で正義をふりかざす行為は、果たして正義と言えるのでしょうか。

一方で幼少時からインターネットに触れていた世代の人々は、ネット上で批判をする行為は非難に当たらないとの考えを示しています。「伝統的な抗議行動もしますが、今やソーシャルメディアというツールが加わりました。それらを使わないという選択肢があるでしょうか。力を持つ年配の人々はソーシャルメディアでの抗議に動揺しますが、抗議の内容は女性の権利拡大・人種差別の撤廃など、祖父母や親世代が訴えたことと...

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