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ESG報告と企業姿勢

ESG報告の「テキスト表現」から考える企業姿勢

中尾悠利子(公立鳥取環境大学)

ESG報告の温室効果ガス排出量や女性管理職比率などの数値情報の解釈基準は一律に存在しません。したがって、その数値を説明するテキスト表現は読者に誤解を与えないことが重要です。

昨今、企業の気候変動対策や資源循環といった環境(E)活動、従業員への福利厚生や消費者、取引先への配慮を含めた社会(S)活動、法令遵守や内部統制などのガバナンス(G)に関わる内容を報告するESG(環境・社会・ガバナンス)情報が、SDGsの取り組みも後押しして注目されています。

ESG報告は、投資家を主な読者とした「統合報告書」や、消費者や取引先、NGO/NPOなど企業を取り巻く利害関係者を対象とした「サステナビリティ報告書」など企業によって開示媒体や名称は異なります。本稿ではそれらのESGが含まれる情報媒体を便宜上「ESG報告」と呼びます。

正統化行動とは?

ESG報告は参考にすべきガイダンス(*1)はあるものの、各社の自由裁量によってその開示内容は委ねられています。このような情報開示は「自発的情報開示」と呼称されています。また、このESG報告が自発的に行われる行動を説明した理論(*2)のひとつに「正統性理論」を採用した研究が見られます。ESG報告で採用される「正統性理論」とは、情報開示を通して自社の行動が外部の価値観や規範に沿っていることを示すというものです。

*1 多くの企業で使用されているガイダンスにGRI Standards(GRIスタンダード)やThe International <IR> Framework(国際統合報告フレームワーク)などがあげられます。

*2 ここで使用している理論とは、企業行動を説明するパースペクティブ(視点)を指しています。

例えば、環境事故などで生じた企業への批判は、企業の正統性を脅かすもので、その企業への批判を回避するために環境情報を多く開示しているという研究があげられます(*3)。つまりで示したように、Xのエリアは、企業活動と社会からの期待が一致している状態です。しかし、企業の環境事故により「Y」と「Z」に...

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