広告やパブリシティでは伝えきれない、企業カルチャーをオープンにして、ユニークな社員やプロジェクト、働く場を伝えていくことができるオウンドメディア。その活用の仕方を事例から探っていきます。
社内のプロジェクトやその背景、魅力的な社員についての発信を、「社内報」にとどめず、求職者や顧客、メディアなど、社外のステークホルダーに向け活発に発信しようとする動きがある。情報をオープンにすることで、社外広報と組織の活性化を同時に実施でき、企業活動の透明性も高まる期待があるからだ。企業主導の「オウンドメデイア」は、広告やパブリシティでは伝えきれない思いを語れるため、コーポレートブランディングとインターナルブランディングの一体化に活用できる。
「丸亀製麺」などの飲食店を運営するトリドールホールディングスも、オウンドメディアを活用している。経営の優先課題に「人材の成長」を掲げ、キャリア採用の強化でダイバーシティを推進する同社では、❶採用目的のコーポレートブランディング❷社内コミュニケーションの役割をオウンドメディア「/toridoll」に持たせた。2020年4月に社内向けに配信を開始し7月からは社外へ情報をすべてウェブ上でオープンに。発行していた社内報はやめ、オウンドメディアがその役割も担う。
「コーポレートブランディングを支えるのはそこで働く人です。外向きにいくらブランディングしても、社内とのギャップがあれば、どこかでほころびがでてしまう。あえて、社内・社外と線引きはせず、当社を取り巻くヒト、コトの情報をオウンドメディアで発信します」とコーポレートコミュニケーション部門の中島杏子氏は話す。
自社採用を増やすため企画
「/toridoll」を立ち上げた編集長の古里栞氏(組織戦略課)は、現部署に異動する前、新卒採用に従事していた。「学生に会社の魅力をもっと伝えていく発信ツールがあれば、人材の確保につながると考えていました。しかし人事部門だけでは情報量もリソースも足りません。そんな折、自社採用比率を高めていく方針が出て、その手法を模索する中で、社内にユニークな人材や施策があふれていることを発信するオウンドメディアの企画に至りました」。
採用サイトと限定せず、社内コミュニケーションもオウンドメディアの目的にした背景には...