経営者の「プレゼン力」を診断。声・表情・身振り・ファッションといった視点から毎号、分析します。
対象的な2人のトップだった。メルカリの山田進太郎社長は、表情を変えることなく淡々と語り続ける。アイコンタクトの先は社員。質疑応答では、右隣の社員をチラ見しながら回答する姿が印象に残った。地味で大人しい印象は、創業から5年で上場を果たしたスター経営者というイメージからほど遠い。
一方のドコモ・吉澤和弘社長。低く響く声で表現豊か、かつ堂々たる話しぶり。視線の先は常に前方の客席。笑顔で聴き手一人ひとりと細やかにアイコンタクトを取り続け、会場の空気を掌握するカリスマ性が感じられた。多くの人はこう考えるだろう。「吉澤社長のスタイルが王道だ。山田社長も見習うべきでは?」。
これは間違いだ。山田社長は今のプレゼンスタイルを変えるべきではない。トップの個性とマネジメントスタイルを活かすことが、トッププレゼン成功のカギ。メルカリが急成長を遂げたのも、この「地味プレゼン」が貢献しているはずだ。
メルカリは「人材のブラックホール」と呼ばれる...
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