18歳人口の減少にともない、大学間の競争は年々激化している。ブランディングや産学連携に先進的に取り組んできた2大学が内外のコミュニケーションについて語る。
「伝わる」コミュニケーションを
─大学広報の世界をけん引してきた2大学ですが、最近はどのような取り組みをしていますか。
榊原:東洋大学の規模はこの25年間で非常に大きくなりました。学生数が約2倍、女子学生は約3倍に増加しています。留学生も数多く在籍しています。しかし、こうしたイメージよりも、スポーツが強いという印象をお持ちの方が多いのではないでしょうか。2016年のリオデジャネイロ五輪の際も現役学生が数多く派遣され、メダル獲得を含めおおいに活躍しました。2017年9月9日には陸上男子100メートル走で、当時在学していた桐生祥秀選手が日本人初の9秒台の記録を出し、その後多くの報道がなされました。
箱根駅伝での印象も強いことでしょう。2009年に初優勝してから10年間連続で3位以内という結果を出しています。こうした露出が東洋大学のイメージ形成に大きく寄与しているのです。
世耕:近畿大学の広報室では、宣伝と広報の2つの機能を総称して、「コミュニケーション」と呼んでいます。そして、近大流の「伝わる」コミュニケーションを重視しています。そこで考えついたのが、「お笑い」でした。
大阪はコミュニケーションに関して47都道府県でもトップレベルだと思いますし、大阪のおばちゃんを代表とする厚かましさでも、全国1位と言えます。これからの時代はコミュニケーションを前提に、そこからさらに踏み込んでいく厚かましさも必要なのです。
大学の広告もインパクトを重視した大阪らしいコミュニケーションを意識して、空港にマグロを並べたり、山からマグロが出てきたりと、古臭い型に縛られずに、従来の枠を飛び出していく大学だということを発信しています …