メディアや手法の垣根がますます希薄となり、各専門領域の知見を生かしつつも、統合的なコミュニケーション戦略が求められている。各専門領域、メディアにおいても組織や人の変革が求められている。宣伝会議発行の各誌の編集長に聞く。
2017年に発行した『広報会議』の特集企画への反響をもとに、2018年の注目トピックスとして(1)トリプルメディアからPESOへ (2)広告換算への疑問と効果測定の課題 (3)広報という仕事の裾野の広がりという3つの流れに注目したい。
(1)の「PESO」は、4つのメディア「Paid(広告)・Earned(パブリシティなど)・Shared(SNSなど)・Owned(自社メディア)」の頭文字をとったもので、米国で2014年に提唱された。旧来から日本で提唱されてきた「トリプルメディア」と比べると、広報の仕事の役割をより説明しやすいキーワードともいえる。
年前から国内でも耳にするようになっていたが、改めて『広報会議』2017年10月号で提示し表紙にも大きく打ち出したところ反響が多かった。企業規模や年代を問わず、幅広い読者から「PESOを共通言語として戦略策定を進めていきたい」という声も聞かれる。
(2)の広報効果測定については、国内外で「広告換算」の手法を疑問視する議論が巻き起こっているのを受け2017年11月号で特集を組んだ。独自のKPII設定や報道分析の考え方などを示したところ反響が多く寄せられている。一方で「そもそも広報が効果測定に走り始めたら終わりなのでは」という意見もあり、2018年も引き続き考えていきたいテーマだ。
最後に、企業以外でも広報活動を重視する動きがますます広がっていることから(3)を挙げた。近年、自治体や各種団体のほか、大学の広報部門などの読者が増えている。関西の私大・近畿大学が牽引する大学広報の盛り上がりは顕著で、2017年12月号でも近大を中心とする特集を組んだところ予想を上回る売れ行きを見せた。
自治体関連では、2017年10月に品川区で開催された「シティプロモーションサミット」(宣伝会議および事業構想大学院大学が協力)での盛況ぶりも記憶に新しい。このような勢いが2018年、多様な業界に広がっていくのを期待したい。