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その常識を疑おう

買わない理由を解消しても 買われるわけではない

高橋孝之(ホジョセン)

常識と考えられていることについて、実はそうではないと提言していく本連載。今回のテーマは「買わない理由」だ。「買わない理由」を知ることで売上が上げられるのか。どのように考えればいいのか、筆者が解説する。

    常識1 買わない理由を理解する

    ▷そもそも買わない理由なんて、そんなにない

    ▷買わない理由を解消しても買うわけではない

    ▷そんなことより、買う理由を提供しよう

はじめまして。ホジョセンの高橋です。市場や消費者のメカニズムを理解することに特化したBtoCマーケティング支援業を営んでおりまして、ちょっとひねくれたモノの見方が得意です。このたび「その常識を疑おう」というテーマをいただきました。当たり前に受け入れられている常識を、一歩下がって疑うことで本質を炙り出せるような記事を書ければと思います。

第1回目は、「買わない理由」に関する常識です。売上を改善するために、自ブランドやサービスの「買わない理由」を解消しようと試みるケースをよく見聞きします。せっかく消費者調査を実施し、買わない理由を理解し、それを解消する施策を実施したのに成果が上がらなかった。この悲劇を繰り返さないためにも、買わない理由についてのよくある誤解を解説しようと思います。

買わない理由なんて、そんなにない

想像してみてください。ある自動販売機では20のブランドが提供されていて、あなたはその中からひとつ買ったとします。では、残りの19のブランドそれぞれに買わない理由がありますか?2、3のブランドにはあるかもしれません。その時の気分であったり、以前飲んだ時のイヤな印象だったり。でも、大部分のブランドに対しては、買わない理由は存在しません。ともすれば、何が売られていたのかすら思い出せないかも。

多くのブランドは、比較対象の候補にも挙がっていないはず。自動販売機ですらこうなのですから、より品数の豊富なコンビニやスーパーに至っては、言わずもがなです。このことが示唆するのは、購入しないブランドの方が購入するブランドよりも圧倒的に多く、消費者は買ってもいないブランドのことをいちいち考えてなどいないということです。

買わない理由は、特殊な事情を除き、消費者に存在しない。でも、インタビューで聞いてしまうんですよね。「なぜ、きのこジュース(例)を買わないんですか」って。ここに罠が潜んでいます。実は、人は買わない理由を聞かれたらそれらしい答えを述べることができます。非購入ブランドにはそもそも意識が向いていないことが多いのですが...

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