自治体の広報担当者に、実施した広報施策の背景や効果をヒアリング。自治体広報の舞台裏 自治体における広報の役割について探ります。
従来、神戸市の広報では、各部署の判断で広報媒体の制作や発信をしてきました。しかし、各部署の職員たちは、基本的にデザイン・コピーや映像、ITなどの知識・ノウハウに精通しているわけではありません。その結果、質が高いとは言えない広報媒体を制作したり、非効率な手法で発信したりするのが日常でした。また、杓子定規の“お役所言葉”での広報にも問題を感じていました。大量の情報があふれるなかで、しっかりと情報を届けるには、分かりやすい言葉で伝えなければならないと考えました。
「広報クリエイティブユニット」による内製化
これらの課題に対し神戸市では、2020年に広報業務に副業人材40人を登用して外部専門人材の活用をスタート。2022年4月には広報戦略部に「広報クリエイティブユニット」を設置しました。グラフィックデザイナー・映像クリエイター・コピーライター・ライター・IT専門家などが在籍しています。
このユニットが司令塔となって、神戸市役所全体の広報ツールを戦略性、統一性のあるものに転換しました。具体的には、神戸市の各部署で制作する全広報媒体について広報戦略部では優先順位を決定し、優先度の高いものは各部署でなく、「広報クリエイティブユニット」を中心に広報戦略部が媒体の制作から発信・検証まで責任を持って行っています。昨年から現在まで、広告会社に発注せずに、「神戸登山プロジェクトテレビCM」「子育て施策PRシネアド動画」などの制作と発信を行いました。