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リスクコミュニケーションへの備え

デジタル時代の企業連携に求められるリスクコミュニケーション

満永拓邦(東洋大学)

サイバー攻撃による情報漏洩など、企業のリスクが増加する近年。社内外への適切なリスクコミュニケーションを図るために必要なこととは。

情報技術の進化により、企業間の連携やコラボレーションは不可欠となっています。特にデジタル分野では、APIなどを活用した企業間の連携が急速に広がっています。しかしながら、こうした連携には新たなリスクも伴うため、適切なリスクコミュニケーションが欠かせません。

*API(Web API)とは、ウェブ技術を応用して、ネットワーク経由で他社が提供するサービスと連携させる仕組み。自社サービスの利便性向上や収益向上を目的に活用されることが多い。

連携前から密な議論を

例えば、スマートフォンを利用した決済サービスと銀行との連携を考えてみましょう。この連携により、利用者は自身の銀行口座から決済サービスに直接入金する利便性を享受できます。ただ同時に、セキュリティ上のリスクも新たに生じます。

連携システムに十分なセキュリティ対策が講じられていない場合、利用者の口座が危険にさらされる可能性があります。実際、2020年には銀行口座から決済サービスへの不正な引き出しが行われる事例が発生しました。決済サービスを利用していない人の銀行口座から引き出される不可解な現象が起こり、SNSやニュースを通じて不安が広がりました。

この場合、まず原因を明らかにするために両社が被害状況や事態の経緯を共有した上で調査や分析を進めていくことになります。この過程で、両社間で誤解や認識のずれが生じないよう、適切な...

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