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SXSW 2016 /シリコンヒルズ企業訪問レポート

マーケティングの最前線の潮流を体現する3つのキーワード

「SXSW」は、全世界より情報感度の高いイノベーターやアーリーアダプターたちが集まることでも知られ、Twitterは本イベント内でのアワードで受賞したことが契機で世界的に知名度を高めた。また、自動車配車サービスであるUberも、SXSW期間中に自社サービスの無料チケットを配付したことで、コアなユーザーたちを獲得し、一気にユーザーを広げたことでも話題を集めた。広告・マーケティングの最前線の潮流を体現する3つのキーワードをピックアップし、レポートする。

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人工知能(AI)と ヒューマニティ

SXSW期間中の3月15日、人工知能(AI)の領域においてエポックメイキングな出来事が起きた。Googleが2014年に4億ドルで買収したロンドン発のAI開発のスタートアップ企業、DeepMind社の開発したAI囲碁ソフト「AlphaGo」が、世界最高峰の囲碁棋士イ・セドル九段に5番勝負で4勝したのである。

1997年にはIBMが開発したディープブルーがチェスの世界チャンピオンに勝利し、大きな話題となったが、囲碁はチェスよりも複雑難解なゲームであり、AIが人間に勝利するのはずっと先のことと考えられてきた。今回のニュースは、いよいよシンギュラリティを予感させる出来事として大きな反響を呼んでいる。

ディープラーニング

AIは、現代では無限のパターン認識と経験学習によって、人の顔や音声を認識する、人の趣味傾向を理解する、自動車の自動運転を可能にする、AmazonやNetflix上で商品のリコメンドを行うなどして、活用されている。しかし今回のAlphaGoを開発したDeepMind社が目指すAIは、脳科学の知見を機械学習に取り入れたディープラーニングと呼ばれる技術によって、コンピューターに複雑な判断と計算、学習機能を持たせる。CEO デミス・ハサビスの言葉を借りれば、「機械に知性をもたせる」ことが可能となる。

シンギュラリティ(技術的特異点)

シンギュラリティとは、技術の進化により、人類が、到底想像することができない・後戻りできない未来を迎えることになる時点のこと。米発明家・未来学者のレイ・カーツワイルが2005年に発表した著書で、2045年には人工知能が生命を超越する瞬間が来ると発表し、大きな話題となった。

このシンギュラリティという言葉から多くの人は、『A.I.』や『トランセンデンス』のようなSF映画で描かれるロボットに支配される人間の姿、あるいはあらゆる職業がロボットに取って代わられる未来を想像する。または、昨年2015年のSXSWにおいてベストスピーカーに選ばれたマーティン・ロスブラット氏のように、亡くなった妻の思考パターンをアルゴリズム化し、AIで再現する研究が進むことで、人間が肉体的な死から開放されてAIとして生き続ける未来を期待・畏怖する。

2015年のSXSWでは、シンギュラリティが一つキーワードとなり、AIが人間を超越するかという議論、生命を機械に代替させることの倫理観が焦点となった。一方で、2016年はAIと人間の役割の違い、棲み分けに言及するメッセージが多く見られた。

ヒューマニティとの対比

3月14日、映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の監督・脚本・製作を務めたJ・J・エイブラムスによるセッションが行われた。「テクノロジーの進化によって映画製作の現場で何が変わったか」という質問に対し、J・Jは次のように答えている。「CGやサウンドエフェクトを多用した映像製作がスタジオ内でできるようになり、設備や予算が膨大に必要だった時代から比べれば、コストも抑えられるようになってきた。しかし映画監督としては、常にテクノロジーを使いつつも、それを観る側に悟らせない配慮をしてきた。

アナログを大切にし、リアリティを失わないこと。登場人物の心の機微や、人間関係の繊細さなど、ヒューマニティをいかに精緻に描き出していくか。観る者をいかに作品に引き込み、息を呑ませるか、ということに心を砕いてきた」。同時にセッションでは、Snapchatなどアプリを使い、ユーザーが動画を撮影・編集し、投稿共有できる時代になったことにも話が及んだ。J・Jと共に登壇し、20年来の友人だという …

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