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PR会社活用ガイド2017

「失敗しない」PR会社の選び方 提案依頼のポイントと実践マニュアル

加藤恭子(社会情報大学院大学 准教授/ビーコミ 代表取締役)

「うちの会社もPR会社に頼んでみよう」「他のPR会社に変えよう」─。広報関連部門で活動を進めるなかで、こんな議論がなされることも多いでしょう。本稿ではPR会社と組み、最大限の成果を出すためのポイントを解説します。

私自身、小さなPRエージェンシーを11年にわたり経営していますが、実は「他のPR会社さんに依頼した方が、成果に結びつくのでは」と思われる案件があった場合は信頼できる他社を紹介することもあります。もちろん、逆に当社をご紹介いただくこともあります。

そんな経験もあり、PR会社選定時のお悩みも時折目にしてきました。その原因の大半は「目的やゴールを共有できていない」というミスマッチにあると実感しています。広報会議編集部が実施した調査を見ても、読者の方々のお悩みの大半はミスマッチに起因しているといえます(図1)

図1 PR会社への発注時の悩み

まずは双方のミスマッチをなくし、最大限の結果を出すための方策について考えていきましょう。

PR会社は必要?不要?

そもそもPR会社とはどのような会社を指すのでしょうか。「PR代理店」「PRエージェンシー」などと呼ばれることも多くあります。最近はレストラン経営やスポーツ選手のマネジメント、自社でメディアも運営するなど多角的な経営を行うPR会社も増えています。

あるいはメディアリレーションズは担当せず、戦略PRの立案を手がけるPR会社や広告会社も出てきました。豪華な記者会見の運営・企画に定評のあるイベント会社などもあり、ますます分かりづらくなっています。

まず本稿では、PR会社の定義について「メディア(媒体:間に入るもの)を介して、一般生活者(消費者、ステークホルダー含む)に、企業のメッセージを適切に正しく伝えることを支援する会社」として進めていきたいと思います。

では、どんなときにPR会社が必要になるのでしょうか?ずばり「必要になったとき」に力を借りるというのが正解です。企業の戦略によっても違うのですが、例えば起業したばかりで社員が数人しかいないベンチャーではPR会社は一般的に不要です。

ただ、「起業したことをアピールしたい」「起業したタイミングからメディアの力を借りて存在を正しく伝えたい」という思いがあれば、創業期にPR会社と一緒に動き、プレスイベントを企画することもありだと思います。

通常は「ある程度企業規模が大きくなり、外部の知見が欲しい」「社内担当のみでは業務をうまく回せない」「社内担当だけでは露出が難しい」といったタイミングで、PR会社への発注を検討することが多いようです(図2)

図2 PR会社と組むべき状況とは?

「広報活動のゴールをどう設定して、具体的なアクションアイテムに落とし込んで業務を遂行するか」という自社向けにカスタマイズされた回答を求めるときは、PR会社に相談をするべきタイミングといえるでしょう。

得意分野・対応業務を知る

PR会社は大きく分けて、「アドバイス・コンサル型」「現場作業重視型」「完全代行型」があります。戦略の設計が得意なのか現場の記者とのリレーションが得意なのか、見極めが必要です(図3)

図3 PR会社の得意分野・対応業務を見極める

なお、大規模な総合PR会社は1社で様々なPR業務に対応が可能ですが、小規模なPR会社はリソースの関係から対応業務が限られます。そのぶん、専門性の高さで勝負しているところが多いです。この見極めを誤ると「PR戦略全体の設計を求めていたのに、現場作業に強いPR会社に依頼してしまった」というケース、あるいはその逆のケースも起こりえます。

メディアリレーションズの業務も、各社で「業界紙や専門誌に強い」「テレビに強い」といった特徴があります。企業によっては戦略に応じて使い分けたり、発注先を分散させたりする場合もあるでしょう。

そもそも「数多くの記者とコンタクトをとりたい」「芸能人を呼んで目立つ記者会見を開きたい」という場合と、「メディアトレーニングを実施したい」「業界の知見を持っている専門家に意見をもらいたい」という場合では課題がまったく異なります。ウェブサイトを見て問い合わせるなど、正確なサービス内容を把握しておきましょう。

一方、当社でも実施しており最近増えているのが、OJT形式で広報活動のサポートを行うPR会社です。特に予算の限られているベンチャー企業の場合は、新人担当者を育成する際にこのようなサポートを依頼するのもありかもしれません。単なる代行ではなく、この方法であれば社内の担当者にノウハウが蓄積されます。

価格体系と契約形態

PR会社の価格体系は様々です(図4)

図4 主なPR会社の価格体系

一番多いのが月額定額のリテナー(リテーナー)です。場合によってはリテナーに加え、掲載記事数による成功報酬を請求する会社もあります(テレビ向けPRなどの場合に多いです)。リテナーは最低でも3カ月や半年の契約のケースが多いようです。会社によってはメインの担当がクライアント企業のロゴ入り名刺を持ち、頻繁に社内に来てくれるような手厚いサービスもあります。

次がプロジェクトごとの価格です。新製品の発表についてお願いするなど、単発のプロジェクトの費用を払う形式となります。毎月の費用発生がないので若干リーズナブルに済みますが、広報活動自体は継続的に行うべきものなので、特にプロジェクトのないときに社員のみで広報活動が継続できる企業向けです。

それからタイムチャージやT&M(Time & Material)の会社もあります。PR活動に費やした時間に応じて課金され、場合によっては作成した成果物によってさらに課金されます。活動量が少なければコストは抑えられる場合もありますが、多くの場合、活動量を抑えることが難しく、割高になることがあります。外資系のPR会社などで見られる価格体系です。

依頼にあたり、様々な資料作成なども発生しますが(掲載記事レポート、記者会見の運営マニュアル、プレスリリース、イベント登壇者やインタビューを受ける人向けのブリーフィング用のブリーフィングノートなど)、どこまでが料金に入っているのかを事前にはっきりさせておきましょう。

基本的にクリッピングに外部の会社のサービスを使ったり、通訳を雇ったり、記者会見用にスタンドバナーを制作したりする費用は別途かかりますので、その費用も事前に考えておきたいものです。これらをPR会社経由で発注する場合に「営業管理費」などの名目で10~15%の手数料が発生することがあります。

価格帯については、ピンからキリまであります。編集部調査のもと図5に活動別の価格の目安を記しました。どちらかといえば個人の方が低めで、英語が堪能なスタッフで占められている外資系のグローバルエージェンシーなどは値段が高い傾向があります ...

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