失われつつある本との出合いメタバースは空間の喪失を補うか
先日、久しぶりに古書店に入った。古びたような懐かしいような独特の匂いを久しぶりに嗅いだ。かつて、神保町とまで言わなくても、大学の周辺には小さな古書店が軒を並べていた。そんな通りを、店を覗きながらぶらぶら歩くのが楽しみだった。通り沿いに置かれた箱の中には、安価な古本が積まれ、店の中には、天井まで届く棚に背表紙がぎっしり並んでいる。探していた本を偶然見つけることもあるし、見知らぬ本に心を惹かれることもある。見返しに貼られた値札と財布の中身とを考え合わせて悩むことも...
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