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宣伝会議賞

第62回「宣伝会議賞」の傾向とは? 一次審査員92名の審査講評

今号『宣伝会議』3月号の誌上で、一次審査通過者の氏名が発表となりました。全応募作品の中から、初めの関門を通過したのはわずか0.94%。審査を担当した、広告界の最前線で活躍するクリエイターの皆さん92名の講評をお届けします。

[敬称略・50音順]

CHERRY
青木一真

SNSの影響なのか、つくる人よりも、パフォーマンス上手やつくってそうな人が持て囃される時代。目立つことには目もくれず、ただ実直にコピーを書き続ける。不安や焦りと戦いながら技術を磨く。宣伝会議賞はそんなひたむきな情熱や美学を後押しし、まじめにコピーと向き合う人に光を当てる場所であってほしいです。


赤城廣告
赤城廣治

その商品やサービス、企業が存在するからこそ救える「これは困ったぞ状態」とは何か?同じくそれらが生みだす「もっと早く辿り着きたかったぞ状態」とは何か?そうした「世の中との接点」「普遍的な存在理由」をコピーにした1本が、キラリと光っている気がします。今年もそれらを見逃さずに、次の審査へつなぎました。


電通
池田定博

一次審査で気づいたのですが、オリエンシート、ちゃんと読まずに書いている方が意外にたくさんいらっしゃいます。せっかく考えるのですから、もったいないなぁと思って書いてみました。


インプロバイド
池端宏介

風刺的なのに優しい表現、共感以上にハッとさせられる表現。時代の空気を捉えつつ、普遍的で人の心をゆらゆらさせる1行の言葉は、1票を投じるべき強いキャッチコピーだなぁと感じました。


AO CHAN
石本香緒理

自分と課題との距離をちゃんとつかめているかどうかで、コピーはグンッと変わると思いました。自分の日常や人生に近い課題は、そうだなと思える境界線ギリギリ遠くに視点を持っていく。そうではない課題は、自分の中にある経験や思い出となるべく近づけて重なる点を見つける。それが大切な一歩かもしれません。


東急エージェンシー
伊藤恵

今回はじめて審査をさせていただいたのですが、驚くほど同じ切り口のコピーがありました。でも、その中で光っているものもあって。ちょっとした差なのですが、決定的な違いでした。たくさん書くのも大事ですが、書いた後にどれだけ粘ってコピーを磨けるかが、勝負の分かれ目だった気がします。


BBDO J WEST
今井美緒

表層的な言葉になっていないか。コピーっぽい言い方をしただけのコピーになっていないか。選んだコピーはどれも書いた人の視点が感じられ大量のコピーの中でも光って見えました。どうやらじっくり考える以外の近道はないみたいです。いい視点を見つけたみなさん、おめでとうございます!


フロンテッジ
上島史朗

天文学的な応募数ですから、切り口は似てきます。面白い、と思っても必ず、自分と同じ切り口の作品がある。でもきっと、勝負はそこからです。誰かと似ているものを書いて満足せず、その先にある、ハッとするような視点に辿り着こうとしている人が何人かいました。その人たちの勇気を取りこぼさないように選んだつもりです。


上田家
上田浩和

その商品を実際に使うことなく、イメージで書いたようなコピーが多いように感じました。オリエンを都合よく利用して、自分が書きたいことを書いている。そんな感じ。ぼくも若い頃はそうでした。いや、つい最近までそうだったかな。そういうコピーを書いているうちは、誰にも喜んでもらえないんですよね。


パンダのて
占部邦枝

落とすというより、どのコピーを残していくのか、これが宣伝会議賞一次審査の難しいところ。いいなーと思っても、同じ切り口、同じコピーが次々見つかるので非常に悩ましい。とはいえ、残っていくコピーにはどこか「発見」があって、奇をてらうような表現じゃなくても、人の心を動かす力が備わっているように思います。


REACH
大久保浩秀

課題の本質に迫りきれない表層的なコピーも見受けられましたが、一方で、自分ならではの視点を活かした印象的なコピーも多くありました。課題に深く切り込み、独自性を追求することで、より多くの共感を呼ぶコピーが生まれると感じています。一次審査を通過された皆さんの努力に敬意を表します。


ヒサオ・オオツカ
大塚久雄

応募したみなさん、お疲れ様でした!たくさん書いたみなさん、すごいです!書いた時間は絶対に無駄にはならない、そう思って私も書いています。しんどいけど、書けたら楽しいですよね。「楽しんで書いたんだろうなー、これ」と思えるコピーに何本も出会えました。ありがとうございました!


電通
尾崎敬久

視点があるコピーは強い、そう改めて思いました。今まで言語化していなかったけれど、言われたら確かにそうだ、の視点。切り口、と言う人もいますが、僕は視点のほうがしっくりきます。視点を見つけることこそがコピーを書くということなんじゃないかな、とさえ思います。視点を探しましょう。自戒も込めて。新たな視点を。


電通
勝浦雅彦

多数の応募、お疲れ様でした。コピーには「切り口の独自性」と「洞察の深さ」が求められると思います。これからAIが書く領域が拡大していくなかで、人間のコピーが価値を保つには「自分で自分にどんなプロンプトを用意するか」が重要。自分の指揮官は自分、ですね。


博報堂
川島章弘

力作多数で、楽しみました。特に、これは決勝まで残るかも、というコピーを発見したときはうれしくなります。それでも、まだまだ無限の切り口があるのに惜しいなあ、と感じます。同じ切り口でも、話者を変えたり、省略したり、で意味が変わります。今回出会ったいいコピーも、そんなやり方で、頭ひとつ抜けてました。


博報堂
河西智彦

今年も激戦でした。一次を通過するだけでも本当にすごいことなのでもし一次通過できたら誇ってください。でも、本数的に落とさなくてはいけなかったギリギリのものもあるので、通過できなくても諦めないでくださいね(どれぐらい惜しかったかお伝えできないのが心苦しいのですが)。


神田商事
神田祐介

膨大な数の作品を見ていると大きな傾向が出てきます。多くは同じ切り口で書かれている。その中でその傾向から外れた切り口で書かれているコピーはハッとさせられます。多様性と言われる時代ですがコピーにも強い個性が必要なのだと思います。強い個性を纏った作品は触れた人の心を変える力があると改めて感じました...

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