『童の神』『八本目の槍』や直木賞受賞作品『塞王の楯』などの作品で人気の歴史小説家、今村翔吾さん。2021年から書店経営も行い、2024年4月には、シェア型書店「ほんまる」もオープンした。「広告はネタの宝庫」として着想を得ることもあると言い、自らも広告を手掛けてみたいと話す今村さんに、広告のクリエイティブに期待することについて聞いた。
封印した夢を解放した生徒の一言 デビューから5年で直木賞作家に
2017年に『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』で歴史小説家としてデビューした今村翔吾さん。平安から明治時代まで、多彩な舞台設定の歴史小説・時代小説を手掛け、歴史に馴染みのない人でも読みやすい、エンタテインメント性にあふれた物語が今村作品の魅力のひとつだ。登場人物は、人気の偉人だけでなく、偉人たちの裏に隠れた人々にもスポットを当て、その活躍ぶりを生き生きと描き、新たな視点を読者に与えている。
小学5年生の時に池波正太郎の『真田太平記』を読んで以来、歴史小説の魅力の虜になった今村さん。司馬遼太郎や山田風太郎の作品がお気に入りで、片っ端から読み漁ったという。そうしてさまざまな作品を読破していく中で、物語の続きを「こんな風に書いたら面白そう」と想像したりするなど、小説家に対する漠然とした憧れを抱くようになった。
大学卒業後は家業のダンススクールを継ぎ、ダンスインストラクターとして活躍。長男として家業を守るべく、…
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