2024年4月、AIに関する先端研究機関「HumanCentered AI Institute」を設立した博報堂DYホールディングス。根幹にある「生活者発想」を起点として、新たな関係を生み出すことを目指す同社は、AIをいかに活用していくのだろうか。同研究機関の代表で、グループのChief AI Officerを務める森正弥氏に話を聞いた。
生成AIの活用によって社会要請に応えられるように
―生成AIの進化で、マーケティングや広告ビジネスに起きた変化をお聞かせください。
生成AIは2017年ごろから先進的な企業で導入されてきましたが、2022年のChatGPT登場を皮切りに、企業規模によらず、そして個人でも活用できるようになりました。
すでに、顧客対応やパーソナライゼーション、広告バナーの自動生成などで実務での導入が進んでいます。マーケティング領域において最も着目すべき点は、顧客のペルソナ理解に活用できるようになったこと。当グループでは毎年実施している生活者調査のペルソナを数千人分作成して、その生成AIでつくられたペルソナに対してインタビューを実施するといった新しいサービスも開発し、実証実験を進めています。
―貴グループにおけるAI活用の方針や戦略は。
まず社内では全領域での...
あと80%