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企業課題を社会化し、生活者を巻き込む オズマピーアールの戦略的PRのつくりかた

オズマピーアール

PR(パブリック・リレーションズ)をコアに、企業のコミュニケーション課題を総合的に解決するオズマピーアール。2024年11月28日・29日に開催されたイベント「宣伝会議サミット2024(冬)東京」では、同社でさまざまな業界の戦略的PRを手掛けてきた榑林佐和子氏と谷澤和哉氏、そして博報堂で長年企業の情報戦略に携わってきた嶋浩一郎氏が対談した。存在意義を社会に提示していくうえで、どのようなコミュニケーションが求められるのか。同社が手掛けた2つの企業事例を基に解説する。

オズマピーアール
執行役員
リレーションズデザイン本部 本部長
榑林佐和子氏

博報堂
執行役員
エグゼクティブクリエイティブディレクター
嶋浩一郎氏

<モデレーター>
オズマピーアール
広報 コーポレートコミュニケーション本部
副本部長
谷澤和哉氏

PR化するマーケティング 関係性をつくる「巻き込む」力

テクノロジーの進化でマーケティング施策にも劇的な変化が訪れ、従来よりも細やかで効果的な施策を展開できるようになった。その一方で「企業は利益を追求するのみならず、社会の一員として課題解決に取り組むべきだ」という世の中からの要請も強くなりつつある。そうした変化を受けて日本マーケティング協会が34年ぶりに刷新した「マーケティングの定義」には、「顧客や社会と共に価値を創造」、「ステークホルダーとの関係性」といった、現代企業の在るべき姿を示す文が追加された。

しかし、企業の抱える課題と社会支援をどう結びつけるべきか、苦心しているマーケターは多い。そんな中オズマピーアールは、“ブランドの成長”と“社会の共感”を両立した「最適解」を生み出す独自のメソッドとして「社会デザイン発想」を掲げている。このメソッドで示すのは、「問い→提唱→巻込→喚起」のプロセス。今回のセッションでは、プロセスの中でも「巻込」をつくる「のっかりしろ」をテーマに、PR会社が提供するマーケティングについて語った。

「のっかりしろ」とは、「施策に触れた者が能動的に関わりたくなる余白」のことを指す。おのおのの生活者や関係するステークホルダーをつなげて、施策を大きな成功に導くという。

“あえて”の厳かな人形納めで「人に言いたくなる余白」を残す

オズマピーアールは「のっかりしろ」が機能した例として、同社が手掛けた2つのケースを紹介した。

第一のケースは、日本ケンタッキー・フライド・チキンの事例である。同社のアイコンとして有名な「カーネル・サンダース人形」。1985年、プロ野球日本シリーズの優勝が決定した熱狂の中で、道頓堀店(現在は閉店)の「カーネル立像」がファンによって道頓堀川に沈められた。それから約24年が経った2009年、偶然発見されたのちに修復された同人形は奇跡の生還を遂げた“幸運の象徴”として「おかえり!カーネル」と命名され注目を集めた。以降も球団の時事ネタとしてファンや地域住民から話題にされる存在だったが、経年劣化の度合いが激しく、現在では一般展示もままならないほどの状態に。そこで2024年3月に実施されたのが「『おかえり!カーネル』人形納め」だ。

「皆さんに長く愛されてきた『おかえり!カーネル』を今後、どうしたらいいかと考えて発案された施策が、今回の『人形納め』です。これまでの感謝の意を込め、企業としてきちんとお別れをしたい、という意思の発露としてのアクションです」(榑林氏)。

人形納めは、大阪の住吉大社にて厳かに執り行われた。そして、正式な手続きに則った儀式の様子をファンへの報告としてSNSで発信したところ、テレビを含め各媒体で多くの報道がされたほか、Xのトレンドに「人形納め」が入り、公式投稿に1万を超えるリアクションがつくなど、大きな反響を得たという。

「一部の報道では、『人形を廃棄した』と表現されることもありました。しかし、SNSユーザーの方々からすぐに『それは失礼』と声を上げていただけたことがありがたかったですね」(榑林氏)。

この事例において成功の鍵となったのは、「ストーリーののっかりしろ」だったと榑林氏は語る。例えば、人形納めの場として登場した住吉大社は、実は2009年の「おかえり!カーネル」のお披露目の場でもあった。また、お神酒と一緒に「オリジナルチキン」を奉納するなど、「伏線」や「くすぐり」、「ツッコミどころ」となるようなポイントを随所に配置したという。配信された動画では説明していないが、そうした点に気づいた生活者が、話を自ら補足し「のっかりしろ」を埋めていく。こうして一部のコミュニティでネットミーム化していた「おかえり!カーネル」が、共通の物語という大きなムーブメントに昇華された。

広告は「違いを見つける仕事」 PRは「同じを見つける仕事」

この「のっかりしろ」は、関係者の巻き込みにも有効に作用する。2つ目の事例として挙げられたJミルクのケースは、日本の酪農乳業関係者が抱える牛乳消費減少という課題を解決するもの。給食のない日に子どもが家庭で牛乳を飲まないことでカルシウム不足となっている実態から、「休日にある小中学生の栄養問題」を牛乳で解決する施策である。

まず、プロジェクト全体を象徴する記号として2022年に「土日ミルク」という言葉を制定。酪農乳業関係者を中心としたステークホルダーが集まる会議も実施。のっかりの場を作ったからこそ、メンバーの参加意欲も高まり、その後の個々の能動的な活動につながっているという。

さらに、活動に必要なツールや宣材、イベントの運営マニュアル、スタッフTシャツやグッズのデザインなど、すべてを特設サイトでダウンロード可能にした。この仕掛けのポイントは、「土日ミルク」という社会記号を起点に、場の提供だけでなく、興味を持った誰もが、いつでも参加できる「活動フレームののっかりしろ」をつくったことであると榑林氏は振り返る。

セッションの最後、まとめの言葉として嶋氏は、「余白が受け手のクリエイティビティを発揮させる」と語った。

「『違いを見つける』のが広告だとしたら、PRのクリエイティビティは『同じを見つける』ことだと捉えています。例えば、民泊という考え方を広める場合なら、『空き家問題解決に民泊を使いませんか』、『民泊なら関係人口を増やせますよ』と、社会と企業が握手できるポイントを探って、コミュニケーションを取っていくわけです。そうした『同じ』を共有し、社会と企業が握手する、これをひとことで表す言葉として“のっかりしろ”はおもしろいアイデアだと思っています」(嶋氏)。



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