各社が独自の切り口で取材をし、情報を分析、そこで得た情報を世の中に届けるメディアという存在。そんなメディアが持つ一次情報収集・分析力は、人々がさまざまな情報に簡単にリーチできるようになった今の時代に、どう評価されるべきなのだろうか。スローニュース 代表取締役社長の瀬尾傑氏が解説する。
情報の裏取りに手を抜く記事が大量にあふれている現状
ここまできてしまったか、と嘆きたくなる衝撃的なニュースだった。
11月5日、毎日新聞は『Snow Man・渡辺翔太 32歳の誕生日に「感謝だらけの日々です」メンバーやファンから祝福の声』という記事に誤りがあったと謝罪し、記事を削除した。問題となった記事は「渡辺翔太/Shota Watanabe【公式】」と書かれたSNSアカウントの投稿に対するファンの反応などをまとめたもの。しかし、実際にはこのアカウントはいわゆる「なりすまし」だった。同社は、その事実を確認しないまま、誤報を配信したのだ。
今回のように、タレント、経営者、スポーツ選手などのSNS投稿と、それに対するネットの反応を組み合わせて、取材をしないで記事を書くのは、「こたつ記事」といわれる手法のひとつ。取材に費用がかけられないネットメディアから始まったこたつ記事は、スポーツ新聞のニュースサイトなどでもよく見られるようになった。…
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